建設許可承認期間を大幅短縮、ビジネス環境改善を目指す

(マレーシア)

クアラルンプール発

2019年07月30日

マレーシアの将来的な経済方針を検討する有識者組織の経済行動協議会(EAC、注1)は7月8日、建設許可(注2)における承認期間を従来の390日間から90日間に短縮することを決定した。EACの事務局でもあるマレーシア経済省の発表によると、この提案は「既存の法律を改正せずに直ちに実施され、必要のない条件を取り除くことでビジネスコストを削減し、民間投資をさらに活発化することを目指す」という。

ジェトロのアジア・オセアニア進出日系企業実態調査(2018年度)によると、在マレーシア日系企業の23.7%が投資環境上のリスクとして、「行政手続きの煩雑さ(許認可など)」を挙げている(表参照)。今回のEACによる決定で、建設許可の取得にかかる日数が4分の1以下に短縮されれば、日系企業のビジネス、特に建設業などに追い風になる。

表 在マレーシア日系企業における投資環境上のリスク(上位10項目)

EACは6月11日の会議で、ビジネスのしやすさについて重点的に討議した。投資・経済成長の促進のために各種許認可取得の簡素化を目指し、マハティール首相は取得条件や手続きを見直す方針を打ち出した。今回の建築許可取得の承認期間の短縮は、この方針の第一歩といえる。今後、建設許可以外の許認可の取得についても、承認期間の短縮や手続きの簡素化など日系企業におけるビジネスの円滑化に期待がかかる。

(注1)EACは2月に設立された政権や有識者などによる会議で、議長のマハティール・モハマド首相のほか、アズミン・アリ経済相、リム・グアン・エン財務相、ダレル・レイキン国際貿易産業相、ラフィダ元国際貿易産業相、ゼティ元中央銀行総裁、民間の有識者や法律の専門家など16人で構成される。国内経済成長の促進、富の公平分配、国民の福祉水準の向上など、マレーシアが直面する経済問題に対する今後の方針を議論するほか、生活費の上昇、労働力や住宅に関する問題にも取り組む。

(注2)マレーシアでは、建設工事を実施する際、地場企業や外資企業にかかわらず、マレーシア建設業開発庁(CIDB)への登録が義務付けられる。外国コントラクターの場合、プロジェクトごとの登録となり、CIDB登録前に会社登記も行わなければならない。

(エスター頼敏寧)

(マレーシア)

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