シーメンスとフラウンホーファーが水素分野で協業

(ドイツ)

ベルリン発

2019年07月31日

ドイツの電機大手シーメンス、フラウンホーファー研究機構およびザクセン州は7月15日に、ゲルリッツ地域の経済振興を目指し、シーメンスのゲルリッツ工場敷地内(ザクセン州)にイノベーションキャンパスとスタートアップアクセラレーターを設置することで基本合意した。同キャンパスにハイテク企業、スタートアップ企業や研究機関を集積させ、デジタル化、自動化、エネルギー技術、革新的な材料や製造技術分野を対象とした研究開発を行う。

イノベーションキャンパス内には、シーメンスとフラウンホーファー研究機構が水素技術研究所を設立し、水素発電・貯蔵・利用に関する共同研究開発を行う。研究成果をゲルリッツの工場に試験導入し、将来的には水素技術を収益性のある成長市場に育てることを目的としている。同研究所には3,000万ユーロが投資され、5年間で100人が雇用される。また、シーメンスはこれに加え、ゲルリッツで水素技術を活用したエネルギー集約型産業での二酸化炭素排出量の削減、貯蔵技術など新しい環境にやさしい技術など、脱炭素製造プロセスについての研究開発を行う。

この基本合意は、シーメンスが2017年に閉鎖すると発表していたゲルリッツ工場を、脱炭素プロセスの開発拠点として維持し、工場自体を2025年までに水素技術を用いた二酸化炭素を排出しない工場に転換する活動の一環。またザクセン州には、ドイツが褐炭・石炭火力発電の廃止へ向かう中、ゲルリッツ地域を褐炭採掘地域から、エネルギーのイノベーション地域へ産業構造を変革させる狙いがある。

(中村容子)

(ドイツ)

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