上半期のインフレ率は3.4%、1年10カ月ぶりに低水準

(フィリピン)

マニラ発

2019年07月12日

フィリピン統計庁(PSA)は7月5日、2019年6月の消費者物価指数(CPI)上昇率(インフレ率)が前年同月比2.7%だったと発表した。2.6%を記録した2017年8月以来、1年10カ月ぶりの低水準となった(表参照)。これにより、2019年上半期(1~6月)のインフレ率は平均で3.4%となり、政府の通年目標(2.0~4.0%)に収まった。

2018年1月に政府が20年ぶりに実施した税制改革による各種物品税の増税、通貨ペソ安による輸入価格の上昇、そして原油をはじめとした資源価格の上昇などの影響で、2018年は9月と10月に6.7%に達するなど、通年で5.2%のインフレ率を記録した。政府は物価上昇を抑制するため、2018年を通して、翌日物借入金利(RRP)を3.00%から4.75%まで引き上げるなど対策を取ったが、物価上昇に歯止めがかっていなかった。

2019年に入り、インフレ率は低下傾向にある。要因の1つに、輸入の数量制限を撤廃する改正農業関税化法の施行があり、これにより供給が拡大したことに伴う食料価格の低下が全体のインフレ率を押し下げたとみられる。8月8日に予定されている次回の政策金利決定会合において、RRPが現在の4.50%から0.25%引き下げられるとの見方を複数のエコノミストが示している。

表 フィリピンのインフレ率(2013年~2019年6月)

(坂田和仁)

(フィリピン)

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