モスクワ中心部~スコルコボ間を最短17分で結ぶ鉄道が開通
(ロシア)
モスクワ発
2019年06月06日
ロシアで5月27日、モスクワ郊外のスタートアップやイノベーション産業の地域エコシステムとして知られるスコルコボ・イノベーション・センターの最寄り駅として、「イノベーション・センター」駅が開業し、モスクワ市内のベラルーシ駅から同駅までを直通でつなぐ急行列車が開通した。急行列車は平日に1時間に1本程度運行しており、乗車時間は最短で17分、運賃は138ルーブル(約235円、1ルーブル=約1.7円)。各駅停車の普通列車も運行しており、乗車時間は約30分で、運賃は69ルーブル。スコルコボに公共交通機関で行く主な方法は、地下鉄からバスに乗り継ぐしかなかったため、今回の開通で市中心部からスコルコボまでの交通アクセス方法がより充実する。
イノベーション・センター駅と急行列車(ジェトロ撮影)
実際に乗車して同駅から歩いたところ(5月29日)、徒歩でスコルコボ・イノベーション・センターのビルに着くには20~30分かかる。
イノベーション・センター駅の運営が急ごしらえで始められたためか、同駅構内に出口や付近の施設に関する案内表示が不十分で、列車が発着するプラットフォーム番号表示も一部なかった。駅と一体になっているショッピングセンター棟は、仕上げ工事中で開業に至っていない。
イノベーション・センター駅の構内(ジェトロ撮影)
駅開業の当日には、エフゲニー・ディトリフ運輸相、モスクワ市のセルゲイ・ソビャニン市長、モスクワ州のアンドレイ・ボロビヨフ知事、ロシア鉄道のオレグ・ベロゼロフ社長、スコルコボ財団のビクトル・ベクセルベルク会長とアルカジー・ドボルコビッチ総裁が試乗した。
開通2日後の5月29日からスコルコボで開催されたイベント「スタートアップ・ビレッジ」の開会式において、スコルコボ財団のドボルコビッチ総裁が、鉄道を利用して来場した人に挙手を求めたところ、手を挙げた聴衆は少数にとどまった。鉄道の認知度向上や、駅からスコルコボ敷地内施設へのアクセス改善が求められる。
イノベーション・センター駅の付近には、もともとトリョフゴルカ駅があったが、建て替えるかたちでイノベーション・センター駅が設置された。「スコルコボ」という名の駅は別に存在し、キエフ駅から列車が運行されているが、同駅からスコルコボ・イノベーション・センターまでは6キロ離れており、同センターへの移動には使われていない。
(浅元薫哉)
(ロシア)
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