欧州商工会議所、次期EU政権に単一市場強化を要請

(EU)

ブリュッセル発

2019年06月19日

欧州商工会議所(ユーロチェンバース)は6月18日、傘下の欧州各国商工会議所の代表者会合(総会)をブリュッセルで開催。EUの産業競争力を高め、EU市民の不安を解消するために、単一市場強化をEU新体制の戦略課題に位置付けるべきとの立場を強調した。

次回欧州理事会での採択を求める

欧州商工会議所のクリストフ・ライトル会頭は総会での議論を総括し、「EUが世界的な主要課題への対応のかじ取りで存在感を示すためには、協働するほかにない」「われわれは、欧州の協調、競争力、安定、国際的影響力にとって、単一市場は不可欠と考えている」と力説。同時に、「(単一市場は)強化する必要もある」とも述べ、EUの共通理念である4つの移動の自由〔「商品(モノ)」「ヒト」「資本」「サービス」〕を、単なる政治目標ではなく、明確に認識できる利益を事業者や市民にもたらすべく、一層の保障をする重要性を訴えた。

欧州商工会議所としては6月20、21日にブリュッセルで開催予定の欧州理事会(EU首脳会議)で採択される見通しの「(次期)2019~2024年のEU戦略アジェンダ」(注)の中で、EU単一市場強化の方針を反映することを求めている。なお、欧州商工会議所は既に4月、欧州理事会のドナルド・トゥスク常任議長に書簡を送って、EU単一市場強化を要請しており、さらに傘下の欧州各国商工会議所も、各EU加盟国政府に同様の要請をしているという。

(注)EUの全体的な政策の方向性と優先順位。欧州理事会が5年ごとに採択する。EUの政策アジェンダの核となるもので、これに従って具体的な施策が決定される。現在は2014年6月に採択された5つの優先事項がEU政策の基本方針となっているが、単一市場は含まれていない。

(前田篤穂)

(EU)

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