解禁後初、オンラインカジノの営業を4事業者に認める

(スイス)

ジュネーブ発

2019年06月14日

スイス連邦参事会(内閣)は6月7日、バーデン、ダボス、ルツェルン、プファフィコンにあるカジノの事業者ライセンスの範囲に関して、新たにオンラインカジノゲーム事業を運営できるよう拡大した旨の声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出した。スイスのゲーム事業者によるカジノゲーム(ポーカー、ルーレット、ブラックジャック)のオンラインでの提供を認める2019年1月施行(条文の一部は7月1日施行予定)の賭博法に基づいて行った措置だ。提供予定のゲームについては、連邦ゲーム事業者監督委員会(CFJM)による承認を得られ次第、オンラインでの提供が可能となる。

カジノ規制改正の背景

スイスでも、ギャンブル中毒対策や各種賭博サービスの課税の要否、不正防止など公正性の確保が課題となってきた。2012年3月11日の国民投票で公共サービスとしての賭博の規制をめぐる憲法改正が可決されたことを受け、2015年に法案が起草され、2017年9月に賭博法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますとして連邦議会で可決された。2018年6月10日、同法に対する国民投票が行われ、72.9%の賛成で可決された。同法は、くじとスポーツ賭博に課税し、カジノが非課税という不均衡を是正して、マネーロンダリングや不正賭博防止措置を講じている。7月1日からは、無許可のオンラインギャンブルへのアクセスを制限することが可能になり、スイスのインターネット・サービス・プロバイダー(ISP)に対して、外国から無許可のオンラインカジノサービスが提供できないような措置を義務付ける。

スイス国内および近隣のカジノ産業は、ギャンブル中毒への批判や、外国の事業者が提供するオンラインカジノとの競争にさらされており、衰退傾向にある。「トリビューン・ド・ジュネーブ」紙は、ジュネーブ州内唯一のカジノ「メイラン カジノ」の2018年の売上高が前年比0.5%減となったこと、また欧州最大との触れ込みで2007年にスイス南部に隣接するイタリア・コモ州に設立されたカジノが、経営不振から2018年7月に閉鎖され更生の途上にあることを報じた。

賭博法には、規制強化とともにインターネットカジノの解禁が盛り込まれたが、国外のインターネットカジノ事業者からの国内サービス提供防止とインターネット中立性を両立する具体策の検討、ギャンブル依存症対策のための財源確保、オンライン上の不正の防止など、連邦政府が取り組むべき課題が残る。

(和田恭、マリオ・マルケジニ)

(スイス)

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