廃棄物の輸入規制を修正・補足する政令公布

(ベトナム)

ホーチミン発

2019年06月13日

ベトナムで環境保護法の執行を定める政令38/2015/ND-CP(旧政令)を修正・補足する政令40/2019/ND-CP(新政令)が5月13日、公布された。新政令のうち、主な修正点である「第VIII章廃棄物輸入の環境管理」(第55条~63条)における旧政令との差異などは次のとおり。

廃棄物の輸入主体を限定し、新たな条件を規定

旧政令は「製品製造のため輸入廃棄物を使用する者から輸入委託を受けた組織または個人」にも輸入を認めていたが、新政令では「輸入廃棄物を使用する製造施設を有する組織または個人」に限定し、以下3項目の設備や証明書を保有していることを条件として追加した(第55条)。

  1. 「環境保護基準に適合する廃棄物保管のための別倉庫など」および「環境技術基準に従い廃棄物再生、不純物除去の技術かつ設備など」(注1)
  2. 天然資源環境省が承認する「環境影響評価報告書(製造原料として使用を明記)」および「環境保護計画完了証明書」、または「廃棄物処分ライセンス(既開始事業の製造原料の廃棄物を含む)」
  3. 「環境保護適合証明書」

輸入廃棄物および船卸しを認める条件を規定

輸入廃棄物は国の環境技術基準に従い、「製造原料用輸入可能廃棄物リスト(首相決定73/2014/QD-TTg)」に記載があること(注2)。船卸しは、電子マニフェスト上の輸入廃棄物受取人(組織または個人)が輸入許可残量のある「製造原料輸入廃棄物の環境保護適合証明書」および「保証金確認書」を保有する場合に認められる(税関が確認)(55条)。

その他の主な修正および新設規定

  • 廃棄物の輸入は、製品製造の設計能力の範囲内とする。再販用のスクラップ加工のための輸入は認めない。また、輸入は2025年1月1日から、設計能力の80%までとする(残りは国内調達)など制限する。輸入者は、外国の組織または個人との製造原料の廃棄物提供につき、直接契約をする(56条6項)
  • 輸入廃棄物の「環境保護適合証明書」の発行手続きなど(56b条)
  • 製造原料として輸入可能な廃棄物リスト外の試験用輸入(58条)
  • 製造原料として輸入する廃棄物の検査・通関手続き(貨物量の最低10%は検査)(60条)
  • 輸入者は、翌年1月31日までに廃棄物の輸入と使用などに関する報告書を作成し、製造施設が立地する天然資源環境局などに送付(63条)

また、今回各手続きのための提出書類の明確化および各様式(同政令付録)も規定されている。

(注1)環境保護法第76条2項、3項参照。

(注2)環境保護法第76条1項参照。

(小林 亜紀、ダン・ティ・ゴック・スオン)

(ベトナム)

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