輸入関税換算レートが6.5%切り下げ、関税の負担増に

(ナイジェリア)

ラゴス発

2019年06月27日

ナイジェリアの現地報道やジェトロの聞き取り調査によると、関税算出時の外国為替レートが6月10日、1ドル当たり306ナイラから326ナイラへと6.5%切り下がり、関税の負担が増加した。ナイジェリア中央銀行が税関に指示したものとみられる。

ティンカン島港税関認定エージェント協会によると、税関から事前通達がないままラゴス港税関で導入され、税関評価部が全国一斉にシステム設定を変更したという。

現地日系企業によると、6月10日に輸入通関書類チェックのため税関のデータベースにアクセスしたところ、レートの変更に気付いたという。6月10日以前に契約した貿易取引のレートに適用され、突然の負担増に困惑の色を隠せない。「密輸が増加するきっかけになりかねない。連邦政府は税収確保に注力するが、課税されるべき企業や個人からの確実な徴収を徹底させるべきだ」と指摘する。

ナイジェリア中銀は2016年9月以降、公定レートを1ドル=306ナイラにほぼ固定している一方、外為市場では2017年7月以降、1ドル=355~360ナイラの範囲で推移している。これまで公定レートに準じていた関税算出時の為替レートが、20ナイラ切り下げられた理由は示されていない。

実質的な関税引き上げが、日用品や食料、機械など多くを輸入に頼っているナイジェリアの国内小売価格に転嫁されることも予想される。消費者物価指数(CPI)は2017年の16.5%をピークに低下しており、2019年3月は前年同月比11.3%だった。今後、CPIが再び上昇することを懸念する声も聞かれる。

(西澤成世)

(ナイジェリア)

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