EU大手蒸留酒団体、蒸留酒のボトルへのエネルギー値表示を表明

(EU)

パリ発

2019年06月18日

スピリッツヨーロッパ(欧州の蒸留酒メーカー大手9社と24カ国の蒸留酒の業界団体を会員に持つ非営利団体)は6月4日、パリで開かれた総会で、EU市場で流通する蒸留酒(スピリッツ)に関してエネルギー値を商品本体に表示し、全ての原材料リストやその他の製品特有の情報をオンラインで提供することに取り組む覚書(MOU)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を締結した。欧州委員会のビテニス・アンドリュカイティス委員(保健・食品安全担当)が立ち会った。

現在のEU規則の下では、アルコール度数1.2%を超える飲料(以下、アルコール飲料)は、原材料リストと栄養の表示義務対象外で、栄養表示に含まれるエネルギー値も任意表示となっている(注)。

欧州委員会は2017年3月に、アルコール飲料の原材料リストおよび栄養表示の義務化に関する報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公表し、業界に対して、消費者の期待に応えるアルコール飲料全体を網羅する自主規制案の作成を求めていた。これを受け、2018年3月に、スピリッツヨーロッパを含む欧州のアルコール飲料関係の業界7団体が自主規制案を欧州委員会に提出したが、ビール、シードル、スピリッツ、ワインの各業界で異なった内容であり、また、エネルギー値をラベルに表示する約束は含んでいなかった。

アンドリュカイティス委員は総会のスピーチで、「消費者がより健康に良い選択ができるよう、食品と飲料に関してさらなる情報提供を求める時代だ」として、今回の覚書締結を歓迎した。覚書は事業者の対応を義務付けるものではないが、スピリッツヨーロッパによると、今回の覚書に署名した企業・団体が表示に取り組むことにより、2020年末までにEU市場で流通する蒸留酒のラベルの25%にエネルギー値が表示され、2022年までには約7割に表示されることになるという。

今回のMOUが対象としていないワインに関するエネルギー値や原材料リストのラベル表示に関しては、EU統一の規則を設けようと、2020年以降の共通農業政策(CAP)の欧州共通市場制度の枠組みの中で協議されており、今後エネルギー値の表示が義務化される可能性がある。

(注)エネルギー値を表示する場合は、kJとkcalの両方を記載しなければならない。

(浅見武人)

(EU)

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