ベトナムで初の工業製品専門eコマースサイト

(ベトナム)

ホーチミン発

2019年06月03日

ベトナム初の工業製品専門のeコマースサイト「TATmart.com」が7月に開設の予定だ。運営するTAT Machine and Equipment Joint Stock Company(TAT)(本社:ホーチミン市2区)は、約20年間にわたり産業機器などの販売を行い、日系企業を含む5,000社と取引実績がある企業だ。サイトの運営の初期投資は100万ドル。2年間で2,000万ドルの売上高を見込む。販売するのは、手で持ち運べるサイズの産業機器および付属品で、完成品だけでなく部品も含む(「VNエクスプレスオンラインニュース」4月6日)。

TATのチュン・クック・トゥアン社長はジェトロのヒアリング(5月16日)に対し、サイト立ち上げの経緯について、「国内のインターネットショッピングの利用増加に伴い、産業機器においても、オンラインでの購入が見受けられるようになった。われわれは、安全な産業機器製品を購入できるサイトをつくりたかった」と話した。個人だけでなく、企業への販売も行う予定だ。

出品者はビジネスライセンスを有する企業で、商品が信頼できることを製造元や適切な証明書などで確認する。出品企業は現在、約100社に上り、商品は地場または外資企業のベトナム製、もしくは正規輸入品に限っている。出品企業および利用者は初年度、登録手数料が無料となる。出品企業が販売額の数パーセントをTATに支払う仕組みだ。同社長は「このサイトは、利用者である企業の社長が表示販売価格をみて安心して取引することで、ビジネスの透明性を創出するが、購買担当者がキックバック取得機会を失うため、利用が進むか懸念もある」と語る。ベトナムでは、購買担当者が販売元(販売側)からキックバックを得ることが少なくなく、本来の価格で取引されていないケースがあるといわれる。

商品を購入すると、出品企業による保証およびプロモーションが適用される。BtoBの場合、利用者は「企業」であるという証明がされれば、購入前のデポジット(5~10%)の支払いが必要となるが、納品後の代金の銀行振り込みが可能で、BtoCより有利な価格表示が適用される。BtoCは、カード決済または現金払いとなる。

TATはカットライ港にサイト専用の倉庫を有し、サービスを全国展開する。出品企業から一部在庫を預かり、販売に応じて補充してもらう予定だが、在庫を抱えることができない商品は、注文が入るとTATが出品企業に商品を受け取りに行き、梱包(こんぽう)して運送会社に配送を依頼する仕組みだ。販売機能以外に、治具リース、修理サービス手配など幅広いサービス展開も予定している。

写真 トゥアン社長とTATmart.comの試験サイト(TAT提供)

トゥアン社長とTATmart.comの試験サイト(TAT提供)

(小林亜紀、ダン・ティ・ゴック・スオン)

(ベトナム)

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