吉利汽車、車載電池をLG化学と合弁生産

(中国)

上海発

2019年06月20日

中国最大手自動車メーカーの吉利汽車は6月12日、傘下子会社の上海華普国潤が韓国のLG化学と、現金による折半出資で合弁会社を設立すると発表した。合弁会社の資本金は1億8,800万ドルで、主に電気自動車(EV)用リチウムイオン電池(LIB)の開発・製造を行う。2019年末には新たな工場を着工し、2021年末には年間1,000万キロワット時の生産体制を整える予定だ。

吉利汽車とLG化学の関わりは、2017年4月にさかのぼる。当時、吉利汽車はLG化学の江蘇省南京市にある車載電池工場を買収し、両社の一層の提携強化もその際に合意された。ちなみに、吉利汽車傘下のボルボ・カーズは2019年5月、LG化学から今後10年間にわたり数十億ドルに上るLIBの調達契約を結んだと明らかにした。

吉利汽車は、EV用LIBの調達安定性を図るため、他社との合弁生産を含む内製化を積極的に進めている。同社は、2014年9月に車載電池メーカーの山東衝遠新能源を買収したほか、2016年4月に浙江省金華市で研究開発機能を含む生産基地の建設も開始した。さらに2018年末には、車載電池大手の寧徳時代新能源科技(CATL)と合弁会社を設立すると発表し、総投資80億元(約1,280億円1元=約16円)で湖北省の生産基地を2020年に完工する予定だ。

1~5月の新エネルギー車販売は前年の4.6倍

吉利汽車が車載電池への投資を相次いで行っているのは、新エネルギー車の好調な販売が背景にある。2019年1~5月の同社の自動車販売台数は前年同期比12%減の56万台と通年目標(151万台)の37%にしか達しなかったものの、EVを中心とする新エネルギー車の販売台数は前年同期の4.6倍となる4万1,615台に急増した。

2019年4月には、従来の自動車ブランドと一線を画し、新エネルギー車ブランド「幾何」の展開を開始した。今後2年以内に約30車種を打ち出す予定で、新エネルギー車へのシフトを急速に進めていく予定だ。

(劉元森)

(中国)

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