自動運転テストコース・ザラゾーンが一般公開

(ハンガリー)

ブダペスト発

2019年06月10日

ハンガリー西部ザラ県のザラエゲルセグ市で5月24日、企業や自治体など向けのイベントが開催され、自動運転テストコース・ザラゾーン(ZalaZone)が公開された。第1期工事終了に伴い開催されたもので、主催者によると、約300人が参加した。また、5月20日のオープニングセレモニーには、オルバーン・ビクトル首相やパルコビッチ・ラースロー技術・革新相が出席した。

施設の建設には計450億フォリント(約180億円、1フォリント=約0.4円)が投じられる。現在は第2工期が進み、2020年までに完成予定。高速や低速、悪路など10以上のテストコースを備え、第5世代移動通信システム(5G)技術を使った高度道路交通システム(ITS)のテスト環境を整えるという。

運営団体のオートモーティブ・プルービング・グラウンド(Automotive Proving Ground)は当地に開設した理由として、(1)欧州域内の多くの自動車関係企業がアクセスしやすい立地、(2)フレックス(シンガポール)など自動車関連企業が既に操業している地域、(3)オーストリアやスロベニアなどとの国境も近く、外国との研究協力がしやすいことなどを挙げている。今後は中・東欧地域での自動運転や電気自動車(EV)などの研究開発拠点となることが期待されている。

既に、部品製造ではボッシュやコンチネンタル、通信系ではエリクソンやノキア、ハンガリーテレコム、IBMなどがこのテストコース活用プロジェクトに参画する。さらに30以上の大学がこのプロジェクトに協力。隣国オーストリアのグラーツ大学やスロベニアのマリボル大学とも共同研究を進める考えで、公道を使用し国境を越えた実証実験も見込まれている。運営団体は日本企業の参加にも期待を寄せる。

ハンガリーでは、ドイツ自動車メーカーのアウディやメルセデス・ベンツ、日系のマジャール・スズキが乗用車を生産している。BMWも生産拠点の操業に向けて準備を進めている。2018年末には、ジャガー・ローバーがブダペストに研究開発施設の設置を表明するなど、政府の積極的な外資誘致の下で年々、自動車関連産業の集積が進む。

5月27日には韓国交通研究院(KOTI)がハンガリーの交通科学院(KTI)とスマート・モビリティー分野で連携に向けた覚書を締結した。ラースロー技術・革新相は、この調印はザラゾーンでの共同研究の布石としている。韓国の現代自動車と起亜自動車は、チェコとスロバキアでそれぞれ乗用車を生産している。

(オルマンディ・ジョルト、本田雅英)

(ハンガリー)

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