欧州委、メイ首相辞任でもブレグジット交渉の方針は変えず

(EU、英国)

ブリュッセル発

2019年05月27日

欧州委員会のジャン=クロード・ユンケル委員長は5月24日、英国のテレーザ・メイ首相の辞意表明を受け、欧州委としての見解を副首席報道官を通じて明らかにした。同委員長はメイ首相を「勇気ある女性」と、英国のEU離脱(ブレグジット)問題をめぐるこれまでの対応をたたえたが、EUとしての交渉方針が「変わることはない」とコメント。今後の英国との協議で「離脱協定案」見直しに応じない考えを示唆した。

欧州委員会委員長の後任候補は英国側の建設的なアプローチに期待

同委員長は、メイ首相の後任がいかなる人物であろうとも、メイ首相同様に敬意を持って、新たな関係構築を図るとの認識を示した。

また、5月23日に投票が始まった欧州議会選挙(2019年5月24日記事参照)で、欧州議会の最大会派である「欧州人民党(EPP)グループ」からユンケル委員長の後任となる筆頭委員長候補に推薦されているマンフレート・ベーバー議員(ドイツ選出)は5月24日、メイ首相のブレグジット問題の解決に向けた取り組みに敬意を表すると同時に、「英国側が建設的なアプローチのため、もう一歩踏み込むことを期待している。この著しく不確実な時期に英国が責任あるリーダーシップを発揮することを求める」とツイッターに投稿した。同議員はブレグジット問題について「深刻な災害だ」と述べ、「この混迷に立ち向かう唯一の選択肢は、欧州としての統合と安定だ」「分断ではなく、より良い欧州が必要だ」との認識を示し、欧州議会選挙を戦っているEU懐疑派を牽制した。

(前田篤穂)

(EU、英国)

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