欧州議会選挙、与党が勝利、日系人率いる極右政党も議席獲得

(チェコ、EU)

プラハ発

2019年05月28日

チェコの欧州議会選挙が5月24、25日に実施され、21議席を争った。アンドレイ・バビシュ首相率いる最大与党のANO 2011(中道右派)が予想どおり勝利した。選挙結果は表のとおり。

表 欧州議会選挙結果

連立与党で中道左派のチェコ社会民主党(CSSD)は得票率4.0%で、議席獲得に必要な5%に届かず、前回獲得した4議席を全て失うという完敗を喫した。左派のボヘミア・モラビア共産党も2議席を失い、左派政党2党が敗れる結果となった。

得票数2位、3位につけたのは、中道右派の最大野党の市民民主党(ODS)と、知的財産権保護の緩和を訴えるチェコ海賊党だ。この2党は2017年10月の下院選挙でも、ANO 2011に次いで2、3位につけている。特に、チェコ海賊党は新たに3議席を獲得する躍進ぶりを見せた。都市部で高い支持を得る市町村長連合(STAN)+TOP 09の右派政党連合は2桁の得票率を獲得し、首都プラハでは支持率トップを記録した。

一方、日系人トミオ・オカムラ氏が率いるSPDも予想を上回る得票率で2議席を獲得した。同党は2015年に結成され、EU離脱に関する国民投票の実施を綱領に掲げる極右政党。4月の世論調査によると、欧州議会選挙最大のテーマとして「難民、移民問題」を選択した回答者が全体の15%で最も多く、SPDの議席獲得はこの世論を反映したものと考えられる。

今回の投票率は28.7%で、同国で2004年に実施された第1回欧州議会選挙時の28.3%は上回った。ただ、他国との比較では、スロバキア、スロベニアに次いで3番目に低い投票率で欧州議会選挙への関心は、依然としてEUでも最低レベルにとどまっている。

(中川圭子)

(チェコ、EU)

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