中国、対米追加関税の適用除外制度について公表

(中国、米国)

北京発

2019年05月16日

国務院関税税則委員会は5月13日、米国原産品に対して課している追加関税の適用除外に関する手続きを発表した。中国が対米追加関税の適用除外制度を設けるのは、今回が初めてとなる。

今回公表された「対米追加関税賦課商品適用除外業務試行弁法PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(以下、弁法)」によれば、適用除外を申請できる期間は2期あり、申請対象品目によって異なる(表参照)。申請対象品目リストのうち、完成車および自動車部品など、既に追加関税賦課が停止あるいは暫定的に停止されている品目は申請の対象とならないとされているが、その具体的な品目など詳細は現時点では不明。

表 対米追加関税の適用除外申請の期間と品目

申請者は期間中、財政部関税政策研究センターの申請用ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますから申請できるが、本稿執筆時点(5月15日午後6時)では、具体的なコンテンツは掲載されていない。なお、申請者は対象品目の利害関係者で、関連商品を輸入、生産、使用する在中国企業および各業界団体が含まれる。業界団体は、その会員企業を代表して申請を行うことが奨励されている。

申請用ウェブサイトに設けられるフォームに必要事項を記入

弁法によると、申請者は、1品目(HSコード8桁)につき1つの申請フォームに記入することや、申請用ウェブサイトに記載される除外申請に関する具体的な説明および要求に基づき、情報を記入することとされている。また、除外申請の理由を、事実とデータによって説明しなければならない。具体的には、次の3つの観点から説明しなければならない。(1)当該品目の代替不可能性、(2)追加関税賦課が申請者に与える経済的損害の重大性、(3)追加関税賦課による関連業界へのマイナスの構造的影響(技術進歩を阻害するなど)、あるいは社会に対する結果の重大性。なお、記入した情報の取り扱いについては、申請者の同意を得ずに第三者には公開しないとしているものの、政府の要求や法律の要請に応じる場合などは除くとした。

申請を受け付けた後は、関税税則委員会が有効な申請を逐一審査し、調査研究を行い、関連する専門家、協会、政府機関の意見を聴取した上で、適用除外リストを制定、公布するとしている。適用除外を申請して除外が認められ、適用除外リストが実施されるまでの所要時間は不明だが、実際に恩恵を受けるまでには一定の期間を要すると見込まれる。

適用除外リストに記載された品目は、リストが実施された日から1年間は追加関税を賦課しないとされている。また、適用除外リスト掲載品目に対して、既に賦課された追加関税は還付される。還付は、関連する輸入者が、適用除外リストの公布日から6カ月以内に税関に申請しなければならない。

(小宮昇平)

(中国、米国)

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