米中貿易摩擦を受け、「官民合同実体経済緊急対策会議」を開催

(韓国、米国、中国)

ソウル発

2019年05月17日

韓国・産業通商資源部は5月10日、米国政府が中国産製品向けの関税を10%から25%に引き上げるとの発表を受け、「官民合同実体経済緊急対策会議」を開催した。

同部貿易投資室長の主宰の下、大韓貿易投資振興公社(KOTRA)、韓国貿易協会、韓国貿易保険公社などの輸出支援機関、8分野の業種別団体(半導体、ディスプレー、鉄鋼、石油化学、繊維、機械、自動車、電子機器)、産業研究院、対外経済政策研究院などが参加し、2,000億ドル規模の品目に対する米国の対中関税率の引き上げが、韓国の輸出に及ばす影響について議論した。

同部は産業界の建議を受け、官民合同で品目別・市場別に輸出モニタリングを強化する一方、韓国企業が米中貿易摩擦の困難な状況下でもニッチ市場を開拓し、新たな市場への輸出多角化支援を強化すると表明した。そのために策定された補正予算3,223億ウォン(約322億円、1ウォン=約0.1円)を貿易金融、海外マーケティング支援に活用し、対韓投資の積極的な誘致や輸出マーケティング支援事業の強化、新興市場開拓のための自由貿易協定(FTA)交渉加速化などを推進することを明らかにした。また同部では、「消費財輸出拡大方案」(5月)、「デジタル貿易促進方案」(6月)、「輸出市場多角化方案」(7月)などを推進する予定だ。

なお、韓国貿易協会は同日、「通商イシューブリーフ」を発表し、米中貿易摩擦が持続すると、中国に拠点を置いて米国に輸出する韓国企業は関税負担が増大すると分析した。一方、米国市場において中国企業と競合関係にある韓国企業には、拡大した関税率の格差を活用するとともに、リスク分散のため第三国における生産拠点の模索、市場多角化に向けた努力が必要と分析した。

〔諸一(ジェ・イル)〕

(韓国、米国、中国)

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