経済的自由権宣言を新たに規定

(ブラジル)

サンパウロ発

2019年05月16日

ブラジル政府は4月30日付暫定措置令881号で、自由市場の保障、規制効果検証の実施などを規定する「経済的自由権宣言(Declaração de Direitos de Liberdade Econômica)」を定めた。この措置令は行政で規制する必要のない「低リスク」と認識されるビジネスを法人・個人が発展させる自由を保障するもの。第2条で、経済活動実施の自由の認定、私人の善意の認定、経済活動の実施に係る補助的、最小限かつ例外的な国家の干渉の原則がうたわれた。

「低リスク」と認識されるビジネスは別途定められるが、政府は主にスタートアップ企業など小規模事業を想定している。現状では、経済活動の実施に当たりさまざまな許可、承認、登録などが求められるが、これらを緩和する意図がある。措置令で保障される自由は、「煩雑な行政手続きからの自由」「労働、生産の自由」「価格決定の自由」「専断的裁定からの自由」など17の自由原則を掲げている。例えば、「専断的裁定」とは、同じ条件の事案であっても、経済活動を許可する監督官吏の判断により異なる裁定が発生し得る状況を防ぎ、同等・同質の対応を促すもの。

規定された内容は抽象的で、実際のビジネスへの影響を図るには時間を要するとみられる。しかし、報道では弁護士の見解として、政府の経済への干渉度合いを低減し、事業者の自由度を高めることで、さまざまな経済活動分野での競争力向上に資するとしている(「バロール」紙5月6日)。なお、行政手続きの簡素化は政府が積極的に取り組む分野で、3月13日付暫定措置令876号でも、企業の商業登記手続き迅速化に向けた法改正を行っている。いずれも暫定措置令であるため、既に効力を有するが最大で120日以内に議会で正式法令化の手続きを完了する必要がある。

(二宮康史)

(ブラジル)

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