eスクーターの走行を承認、年齢層により意見に相違も

(ドイツ)

デュッセルドルフ発

2019年05月29日

ドイツ連邦内閣は5月22日、最低速度6キロから最高20キロまでのeスクーター(注)の一般道使用に関する規制案について、連邦議会による一部修正を経て決議した。今回の規制では、eスクーターの使用を基本的に自転車専用道に限定、自転車専用道のない場合だけ車道走行を認めている。歩道および歩行者天国での使用については、危険性を指摘する声もあり、除外された。14歳以上を使用可能年齢とし、eスクーターにはブレーキとライトが付いていることを必須とした。eスクーター使用者には保険加入義務が課されるが、ヘルメットの着用は不要とされた。

ドイツIT・通信・ニューメディア産業連合会(BITKOM)のアヒム・ベルク会長は、この動きを歓迎する声明を発表した。同会長は「特にドイツ国内の都市では、現在のモビリティーに代替する形態が必要とされている。eスクーターは、駅やバス停留所などから目的地までの『ラストマイル』の移動手段として、理想的な補完となり得る」としている。

BITKOMは今回の規制の決議に先駆け、eスクーターに関する調査結果を発表している。それによると、16~64歳の回答者の66%は「eスクーターがバスや路面電車、地下鉄などの公共近距離交通のよい補完手段になる」と回答した。eスクーター導入による二酸化炭素排出量の削減への期待も大きく、調査では、回答者の半数が「eスクーターが気候変動防止に重要な貢献をする」としている。他方、国内の医師団体などからは、eスクーターによる事故の増加やけがの危険性を懸念する声も上がっている。 BITKOMの調査でも、59%が「eスクーターによって事故が増える可能性がある」と回答、特に高齢者については否定的な意見も多く、65歳以上の回答者の68%は「eスクーターの使用は危険なため、禁止するべき」としている。

規制は6月15日に発効し、国内の自転車専用道と車道でのeスクーターの走行が可能となる。今後、自動車大手や海外スタートアップなどによる市場参入が予想されている。

(注)電動アシスト機能付きキックスクーター。

(ベアナデット・マイヤー、森悠介)

(ドイツ)

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