日本企業出資のサッカークラブ、ナイジェリア・リーグ3部に昇格

(ナイジェリア)

ラゴス発

2019年05月10日

フォワード(本社:東京都)の加藤明拓社長が出資し、ナイジェリア人のエバエロ・アバヨミ氏と共同オーナーを務めるナイジェリアのセミプロサッカークラブ「イガンムFC」が5月3日、ナイジェリア・サッカーリーグの3部に昇格することが同国サッカー協会の理事会で決定した。

加藤氏は2015年、カンボジアのプロサッカーリーグ1部の「アンコールタイガーFC」を買収し、現在はリーグ3位の成績、観客動員数は全チーム中トップを誇る人気チームに育て上げた実績を持つ。ブランド価値を高め、広告収入、金融業など新領域のビジネスで投資回収に取り組んでおり、ナイジェリアという新しい領域でビジネスに投資する循環を生んでいる。既にイガンムFCで育った選手をアンコールタイガーFCに移籍させて、移籍金をチームに収益としてもたらした。

加藤氏は「身体のバネ、瞬発力など選手たちの素質は素晴らしく、磨けば光る人材が大勢いる。ただ、戦術的な教育をあまり受けておらず、監督やチームの戦略や方針に適応することの難しさや、選手によっては収入が得られるとそれに満足してしまう課題もある。彼らに明確な高い目標を設定させることが重要だ」として、人材育成に取り組んでいる。「選手を世界に送り出し、ビジネスとしても成功させることで、ナイジェリアの貧困解消に貢献したい。不透明な行政の許認可などビジネスの障害は大きいが、ここで成功すれば世界のどこでも通用する」と、困難を自らの経営能力を高める発想に転換している。

イガンムFCは2016年、ラゴス市街地の西側で発足した。チーム所有のグラウンドはなく、コーチも不足しているが、月数回の練習試合を行いながらリーグ戦を戦っている。ラゴスの西にあるバダグリで確保した用地を年内にグラウンドとして整備し、より充実したトレーニング環境を整える。

ナイジェリアのナショナルチームは世界大会出場の常連だ。先進国の投資家がナイジェリアのITスタートアップに出資する事例が増えているが、ナイジェリアの人々が元来持つ高い身体能力を生かしたスポーツに投資するビジネスも今後注目されそうだ。

(西澤成世)

(ナイジェリア)

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