下院総選挙、モディ政権与党のBJPが圧勝

(インド)

ニューデリー発

2019年05月27日

第17回インド下院総選挙(注)が5月23日に開票され、モディ首相率いるインド人民党(BJP)が大勝した。BJPは、2014年の総選挙での結果を上回る単独303議席、連立348議席を獲得した(表参照)。BJP単独で下院議席数543の過半数を上回る議席を獲得し、下馬評を覆す圧勝となったことは特筆すべきだ。最大野党の国民会議派(INC)も議席数では若干伸長したものの、単独で52議席、連立でも98議席を獲得するにとどまった。

表 各党の獲得議席数(速報)

今回のBJPの大勝の背景には、モディ首相自身の強いリーダーシップとカリスマ性があったとされる。前回選挙でBJPは、国家の発展と汚職撲滅を前面に押し出したキャンペーンを実施したが、今回はモディ首相がテロへの報復として2019年2月に実施したパキスタン支配地域への空爆などに示される強い指導者像や、小規模農家に対する補助金支給、低所得層に対する大幅な減税や医療費保障の導入など、国民の過半を占める農民層と低所得層に寄り添った政策の展開が国民に受け入れられた格好だ。

他方でBJPは、2018年12月に開票された州選挙において、BJPの支持基盤といわれるヒンディー語圏「ヒンディーベルト」のラジャスタン、マディヤ・プラデシュ、チャッティスガルの3州で敗北しており、BJPの求心力の低下の象徴とされた。当時は、BJPの経済運営における農民層への配慮の不十分さや、成長の果実が直接届いていないとする野党の主張が州民の支持を得たとみられていた。しかし、今回はこれらの州でもBJPが大勝しており、昨今の情勢の変化で農民層の支持を取り戻したとみられる。

今回の総選挙では、これまで国民会議派や地域政党が勢力を持っていたインド東部の州においても、BJPが躍進した。下院における割当議席数42の西ベンガル州では、前回選挙でマムタ・バナジー州首相率いる草の根会議派(TMC)が34議席を有していたが、今回選挙では22議席に落ち込み、BJPが前回総選挙時の2議席から18議席に躍進した。

(注)4月11日から5月19日まで、543議席をかけて7回に分けて各地で投票が実施された。

(古屋礼子)

(インド)

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