大統領選挙の実施は不透明に、政治的混乱が続く

(アルジェリア)

パリ発

2019年05月30日

アルジェリアでは、4月のアブデラジィズ・ブーテフリカ大統領の辞任を受け、アブデルカデル・ベンサラ氏が4月に臨時大統領に就任した後も、大規模な反政府デモが続いている。次期大統領選挙は7月4日に実施の予定(2019年4月19日記事参照)だが、立候補条件に合う候補者が不在となる可能性が高く、選挙の実施が危ぶまれている状況だ。

アルジェリア憲法評議会は5月26日、大統領選挙に2人が立候補申請したと発表した(アルジェ・プレス・サービス)。しかし、両者ともに無名で、政党による支援を得ておらず、個人として立候補した。また、立候補条件である有権者6万人以上、または25県以上の県・市議会議員600人以上の署名を獲得しておらず、無効になる可能性が高いと現地メディアが報じた(エル・ワタン)。憲法評議会は申請条件を審査し、その結果を10日以内に発表する予定だ。

立候補者が不在となった場合の規程は憲法に記載がなく、また前例がないため、大統領選挙は中止または延期される可能性が高い。しかし、ベンサラ臨時大統領の任期は最長90日で、選挙が中止または延期になれば、7月7日以降は大統領不在の事態となる。

一方で、デモ参加者や野党は繰り返し大統領選挙の中止や延期を訴えていたことから、仮に立候補が承認された場合も、選挙前後の混乱が懸念される。大統領選挙実施を固持するガイド・サラ参謀総長の辞任や、選挙中止を要求する大規模なデモが、ラマダン(断食月)中にもかかわらず、毎週金曜日に首都アルジェや国内各地で継続して実施されている。5月24日にアルジェ中心部で行われた14回目の金曜日デモでは、警察が初めて数百人の参加者を逮捕した(エル・ワタン)。これまで比較的穏健だったデモ活動が、警察の抑圧的対応を機に激化することが懸念され、政治的混乱の早期解決は遠ざかっている状況だ。

(ピエリック・グルニエ)

(アルジェリア)

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