日ロ知事会議、モスクワで9年ぶりの開催

(ロシア、日本)

モスクワ発

2019年05月16日

日ロ知事会議が5月13日、モスクワ市内のペトロフスキー宮殿で9年ぶりに開催された。日本側から、全国知事会会長として埼玉県の上田清司知事、富山県の石井隆一知事、鹿児島県の三反園訓知事、岡山県の伊原木隆太知事、茨城県の大井川和彦知事、岐阜県の古田肇知事、鳥取県の平井伸治知事、北海道の鈴木直道知事の8人が参加し、ロシア向けの海外販路開拓、企業・観光客誘致、文化交流などについて発表を行った。ロシア側からは、モスクワ市、沿海地方、ハバロフスク地方、モスクワ州、タタルスタン共和国、ウリヤノフスク州など約20の連邦構成体の知事や代表者が出席し、日本の地方との交流の現状や投資・観光客誘致などについてプレゼンテーションを行った。

富山県の石井知事は、富山市で開催するものづくり総合見本市に前回(2017年)ロシアから4社・組織が出展した実績を紹介、2019年の同見本市へのロシア企業の参加を求めた。鹿児島県の三反園知事は、2019年1月に県内2カ所の牛肉加工施設がロシア向け輸出施設としてロシア当局から認定されたことを受け、輸出拡大のため同県産牛肉の魅力を訴えた。岡山県の伊原木知事は物流のハブとなる同県の企業立地環境をアピールし、茨城県の大井川知事は庁内にグローバル戦略チームを立ち上げ、ジェトロと協力して県内企業の海外展開を支援する意向を示した。

岐阜県の古田知事は、岐阜かかみがはら(各務原)航空宇宙博物館と、モスクワやサンクトペテルブルクの宇宙博物館との交流の取り組みを紹介し、近い将来にカルーガ州の宇宙博物館にも訪問したいとの意欲を示した。

埼玉県の上田知事は、9月に日本で開催されるラグビー・ワールドカップに際してのロシア人観光客の訪日をロシア側に促した(注1)。鳥取県の平井知事は、境港~ウラジオストク間の航路を活用した日ロ間の物流拡大に期待を示した。

4月に知事に就任した北海道の鈴木知事は、これまで「5つの協力パッケージ」(注2)の下でロシアとの交流を進めてきたが、このうち「直行航空路線の開設」を「人的交流」に切り替え、交流をさらに進めていく方針を明らかにした。

開会あいさつに出席したワレンチナ・マトビエンコ連邦院(上院)議長は、地域間交流が「中小企業間の交流促進にもつながる」と強調した。ロシアの各連邦構成体代表者から、日本の地方との交流の現状や、投資・観光客誘致などについて紹介が行われた。

会議に出席した上院外交委員会のコンスタンチン・コサチョフ委員長は会議後の記者会見の中で、「ロ日知事会議を再び定期的に開催することを考えている」と述べた。同会議は、1968年に日ソ知事会議として開催されて以降、今回を含めて計16回開催された。前回は2010年、前々回は1997年にいずれもモスクワで開催された。

(注1)2019年9月24日に埼玉県熊谷市で、ラグビー・ワールドカップのロシア対サモア戦が予定されている。

(注2)北海道庁ウェブサイトによると、食の安全・安心と健康・長寿、寒冷地の快適な生活の確保、自然環境の保護、エネルギーの地産地消、直行航空路線の開設の5つ。

(浅元薫哉)

(ロシア、日本)

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