ノースカロライナ州のライフサイエンス産業は堅調に推移

(米国)

アトランタ発

2019年05月14日

米国のノースカロライナ・バイオテクノロジー・センター(注)は4月30日、ノースカロライナ州のライフサイエンス産業に関する報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。報告書は2年ごとに発表される。ノースカロライナ州は、カリフォルニア州やマサチューセッツ州に続く、全米でも有数のバイオテクノロジー分野の産業集積地として知られており、ライフサイエンス産業も成長が続いている。

報告書によると、2008年から2018年にかけての10年間に、ノースカロライナ州のライフサイエンス産業が同州の経済に与えた影響は、金額にして458億ドルから833億ドル(州の全産業の9%)へと82%増加した。また、雇用の面では、州内における直接的、間接的な波及効果を全て含めた雇用創出数が18万から24万へと33%増加した。近年(2014年から2016年まで)の雇用者数は2.5%増加し、全米平均(4.4%)を下回っているものの、ライフサイエンス産業の雇用者数は2001年から継続して増加し、2001年から2016年にかけては50%増加した。

報告書において、ライフサイエンス産業は5つの分野(「医薬・製薬」「関連する流通業」「試験研究・医学研究所」「医療機器」「農業原料・バイオサイエンス」)に区分される。このうち、ノースカロライナ州においては、上記の前3つの分野において、特に雇用の集積が進んでいるとの報告がされている。

ライフサイエンス産業の成長は、そのサプライチェーンにも影響を及ぼしている。報告書によると、ノースカロライナ州にはライフサイエンス企業に、コンサルティングや調査、法務などのサービスを提供するサプライヤーが多く存在している。これらの産業では、間接的に9万人を超える雇用を生み出している。

2018年には、バイオテクノロジー関連の製造業、すなわちバイオサイエンスを活用した医薬品(ワクチンなど)、食品用原料(植物抽出物など)、農業・工業用原料(酵素、微生物など)をはじめとする高付加価値品の製造に9,000人超が携わっており、ノースカロライナ州のライフサイエンス産業における重要な役割を担っている。

(注)ノースカロライナ・バイオテクノロジー・センターは、ノースカロライナ州のライフサイエンス産業の振興活動を行う非営利団体。1984年の設立以来35年にわたり、同産業の成長促進のための活動を行っている。

(西田由喜枝)

(米国)

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