アウンサンスーチー国家最高顧問、「一帯一路」会議に参加

(ミャンマー)

ヤンゴン発

2019年05月08日

ミャンマーのアウンサンスーチー国家最高顧問は、4月24日から4月29日にかけて中国を公式訪問し、中国が推進する広域経済圏構想「一帯一路」の第2回国際会議に参加した。同最高顧問は2016年の就任以降、4度目の中国訪問となった。

ミッソンダム建設再開の話題は挙がらず

ミャンマー国内紙などでは、スーチー国家最高顧問の訪中に際し、テインセイン前政権時から凍結となっているミャンマー北部のミッソンダムの建設再開(36億ドルのプロジェクト)について、「中国政府の最高指導部と議論するのではないか」といった臆測も報道されていたが、同ダムについて議論はされなかったもようだ。今回は、あくまで国境を隣接する中国にとって、一帯一路構想の戦略的・地政学的に重要なミャンマーの最高指導者を会議に招待したかたちにとどまった。

ミャンマー国内では最近、ミッソンダム建設を再開したい中国政府と、その是非について態度を曖昧にしていたスーチー国家最高顧問に対し、環境破壊や住民の強制移転などを懸念した市民やNGOなどによる大規模な反対デモが頻発していた。

国民和解への協力を中国に要請

同最高顧問は会期中の4月25日に開催されたフォーラムでスピーチを行い、「われわれの協力については相互の信頼と理解なくしては効果がない」とし、両国の友情を築くことの大切さを聴衆に訴えた。

習近平国家主席との会談では、ミャンマーが一帯一路構想に引き続き関心を有していることを表明し、ミャンマーの平和と国民和解に向けた中国の継続的な支援を要請したほか、地域の安定、法の支配、ラカイン州情勢などについても話し合われた。

李克強首相との会談では、年間10万トンに上るミャンマー産コメの輸入割当の継続やミャンマー産農畜産物の輸入拡大について話し合われた。両国の国境問題に関しては、スーチー国家最高顧問が中国側に対して平和と安定を求めたほか、人身売買や密輸貿易の根絶を訴えた。ミャンマーと中国は、2020年に外交関係樹立70周年を控えており、あらゆる分野で協力していくことが合意された。

(田中一史)

(ミャンマー)

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