ウィーンでスタートアップ・大企業マッチングイベント、日本からも参加

(オーストリア)

ウィーン発

2019年05月20日

スタートアップ支援組織のグローバル・インキュベーター・ネットワーク(GIN)は5月7日、スタートアップと有力大企業とのマッチンングイベントをウィーンで開催した。GINはスタートアップ、投資家、インキュベーターのためのオーストリア政府によるワンストップショップとして2015年にウィーンに設立され、デジタル化・経済立地省および交通・イノベーション・技術省傘下の、産業サービス会社(中小企業に対する低利融資、助成、債務保証や、有望事業への投資を行う金融機関)、および研究推進会社(産業分野の研究に対する競争的研究資金配分機関)によって運営されている。

このマッチングイベントは日本の商工会議所に相当する連邦産業院(WKO)やウィーン市企業庁などとの共催で、年間を通じて24時間営業しているという民間のインキュベーション施設「weXelerate」で開催され、欧米、アジアなどのスタートアップ企業と、オーストリアの大企業や政府機関などから約160人が参加し、日本からもオープンソースのブロックチェーン技術でビジネス用ソリューションを開発するソラミツが、オーストリア政府の招聘(しょうへい)事業を活用して参加した。

プラント、通信、自動車の駆動系装置、半導体および照明関連のオーストリア大手企業が、企業概要や必要としている新技術分野についてピッチなどを行った後、休憩をはさんで個別面談約200件が行われた。

このマッチングイベントは、5月9日から10日にかけて開催されるオーストリア最大の民間による起業家イベント「パイオニーアズ」に合わせて開催された。「パイオニーアズ」は2012年に始められ、2016年には東京でも開催された。GINは、香港、イスラエル、日本、シンガポール、韓国および中国をアジアの「ホットスポット」として活動の重点地域にしており、日本では2019年2月に東京・渋谷のゲームチェンジャー(注)の誕生をバックアップするスタジオ「エッジ・オブ」と連携のための協定を交わし、今後関係を深化させていく方針だ。

ソラミツの武宮誠共同最高経営責任者によると、オーストリアに来たのは、プレイヤーが不足している可能性がある東欧での新ビジネスの拠点として、オーストリアが適しているからとのことだ。同社の技術は既に、カンボジアの国立銀行に採用されているが、さまざまな分野への展開が可能という。

(注)既存の企業を脅かす画期的なイノベーションやビジネスモデルを持つ企業のこと。

(阿部聡)

(オーストリア)

ビジネス短信 62f511ed010d46b6