デジタル貿易、ブラジルには包括的な法的枠組みはなし

(ブラジル)

サンパウロ発

2019年05月28日

ブラジルの電子商取引市場は右肩上がりの成長を続けている。民間団体Ecommerce Foundationによれば、同国の2019年の電子商取引による売上高は前年比13%増の213億ドル、電子商取引(EC)利用者数は前年比8%増の6,000万人と見込んでいる。

他方で、現状ではデジタル貿易や電子商取引に関する法的枠組みは、幾つかの個別の法令が存在するものの、包括的なものは存在していない。消費者保護の観点からは、消費者保護法(1990年法律第8078号)や、同法に基づきネット空間上で商取引する事業者の順守する事項など(所在地やコンタクト先の明示、クーリングオフの手続きなど)を定めた2013年政令第7962号が存在し、個人情報保護の観点からは、個人情報保護法(2018年法律第13709号、2020年8月から施行)が存在する。また、インターネット事業者に関する権利義務を定めたインターネット法(2014年法律第12965号)が存在する。同インターネット法では、インターネット中立性、表現の自由、個人情報の保護などが規定されているが、インターネット事業者に対するブラジル国内サーバー設置義務は、事業者からの反発により法案審議の過程で削除された。

(岩瀬恵一)

(ブラジル)

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