穀物輸出調整に向け、新たな企業連合を設立

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2019年05月02日

ロシア大手穀物商社のアストン、グレンコルアグロMZK、OZKユク、RIFの4社は4月23日、穀物輸出連盟の創設に関する覚書を締結した。連盟は、ロシア産の穀物・マメ科植物の輸出促進に向け、ロシア政府とともに輸出調整策の改善を図っていくほか、立法過程への参加、品質管理面での外国のベストプラクティスの導入、試験場・専門機関の創設、デジタル技術情報システムの活用を促すことを目的としている。

連盟設立はロシア農業省の主導によるもので、参加する4社はロシアの穀物輸出量の3分の1を占める。専務理事には、穀物取引・インフラ整備を行う国営企業「統一穀物会社(OZK)」のエドゥアルド・ゼルニン副会長が就任。アストンのドミトリー・ルィセンコ副社長は「連盟は主要事業者の活動指針の統一、製品の品質管理、取引ルール・規則の順守、国際市場での販売促進など、輸出拡大に向けた作業全般に資するもの」と評する。

穀物はロシアの主要輸出品目である一方、気候変動、国内の需要や在庫状況、国際市場動向、ルーブル為替レートなどに大きく左右され、輸出量の安定に向けた管理を政府がしにくくなっている。こうした状況について、ドミトリー・パトルシェフ農業相は2月に、「主要な輸出事業者の利益を代表する強力な企業連合を形成する必要がある」と述べていた。

他方で、ロシアには、国家農産品輸出協会(NAESP)という穀物世界大手のグレンコア、ブンゲ、カーギル、ルイ・ドレフュスなどが主導する穀物輸出企業連合が存在する。NAESPのセルゲイ・ブラン会長は今回の連盟について、「必要性が理解できない」と批判した上で、「NEASPは農業省とは異なる独自の見解を持っているため、同省にとっては扱いにくい組織だろう」とコメント。農業省が穀物市場の需給に影響を一層及ぼすためのツールではないかとの見方も示されている(「コメルサント」紙2月12日)。

(齋藤寛)

(ロシア)

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