ドーハ・メトロ開業、サッカーW杯開催に向け日本企業がインフラ整備

(カタール)

ドバイ発

2019年05月29日

カタールで日本企業を中心としたコンソーシアムが開発を手掛ける「ドーハ・メトロ」が5月8日に運行を開始した。同メトロの公式ソーシャルアカウントは10日、開業から2日間で8万6,487人の乗車があったと発表。同国の主要サッカー競技大会であるアミールカップの決勝戦が沿線の新設スタジアムで開催された16日には、6万8,725人の利用があったと発表した。また同日、カタールのタミーム・ビン・ハマド首長も初めて乗車した。

写真 開業したばかりのコーニッシュ駅の地上口(ジェトロ撮影)

開業したばかりのコーニッシュ駅の地上口(ジェトロ撮影)

今回開業したのは、全3フェーズにおける第1フェーズのドーハ市域を縦断する「レッド・ライン」の一部で、北は高層ビル群のあるビジネスエリア北端のアル・カサール駅から、南はドーハ国際空港からやや南方のアル・ワクラ駅までの13駅、約30キロ部分だ。現行の乗車券は1回、1日、定期に分かれており、1回チケットの費用は、スタンダードあるいはファミリークラス車両で2カタール・リヤル(約60円、1カタール・リヤル=約30円)、ゴールドクラブ(ゴールドクラス)車両で10リヤル、運行時間は午前8時~午後11時となっている。レッド・ラインは2019年内にも、南部で国際空港に接続する分岐線、北部は新興開発地「ルサイル」までとなる計約10キロを延長開業し、計18駅40キロの路線となる予定。東西に走る「グリーン・ライン」「ゴールド・ライン」の各11駅2路線も2019年内に開業となる予定だ。

ドーハ・メトロは日本の三菱重工業、三菱商事、日立製作所、近畿車輛、フランスのタレス(Thales)からなるMMHKTコンソーシアムが2015年に受注、全自動無人運転の地下鉄システムとして開発が進められてきた。カタール政府は2022年に同国で開催されるサッカー・ワールドカップ(W杯)も見据えてインフラ整備に取り組んでおり、同メトロはW杯競技会場間をつなぐ主要経路としての役割を果たすことが期待されている。

(田辺直紀)

(カタール)

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