アマゾン、初のアラビア語サイト開設

(アラブ首長国連邦)

ドバイ発

2019年05月17日

アマゾンは5月1日、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイに本拠を置く子会社スーク・コム(Souq.com)が運営する同名のオンラインショッピング・プラットフォームをアマゾン・エーイー(Amazon.ae)に変え、自社ブランドとしては初めてアラビア語での提供を開始した。スーク・コムは、ドバイ発のスタートアップとして、2005年からUAEでオンラインショッピング事業を開始し、サウジアラビアやエジプトにも展開。UAEなどでは最大の市場シェアを有していたが、2017年に5億8,000万ドルでアマゾンに買収、完全子会社化され、2018年には両社の統合に向けて、スーク・コムのサイトからアマゾン・グローバルの商品が購入可能になっていた。

今回のアマゾン・エーイーの開設により、これまでスーク・コムで販売されていた31カテゴリー約940万点の商品に加え、米国アマゾンから500万点が販売され、国内外の事業者による出品を合せると約3,000万点もの商品をUAEの消費者が、海外商品も含めて現地通貨建てでUAEで発行されたクレジットカードなどを使って購入できるようになる。スーク・コムがこれまで培ってきたノウハウはアマゾン・エーイーに引き継がれ、オンライン決済を回避したい顧客向けのキャッシュ・オン・デリバリーサービスや、断食月、祝祭日など地元ニーズに合わせたセール時期などは継続されるという。

なお、今回の変更はUAEのみで、サウジアラビアとエジプトでは引き続きスーク・コムのサイトが維持される。

調査会社ユーロモニターの調べでは、2018年のUAEのオンラインショッピング市場規模は前年比19%増の75億ディルハム(約2,250億円、1ディルハム=約30円)となったが、消費市場に占める割合は欧米諸国などに比べて低く、今後も急速な成長が見込まれている。中でも、ペイパル(Paypal)が2018年に行った調査で、前年よりも33ポイント高い61%のUAEのオンラインショッピング利用者が国外のサイトを使っていると回答するなど、越境電子取引(EC)の可能性が注目されている。こうした中で、スーク・コムとアマゾンは合せて48.5%と最大シェアを有しているが、UAEの政府系企業やサウジアラビアの国営ファンドなどからの出資を受けているアラバー・エンタープライズ(Alabbar Enterprises)が運営するヌーン・コム(Noon.com)のイーベイ(eBay)との連携によるシェア拡大や多数の大手小売り事業者の参入など、競争は激しくなっている。

(山本和美)

(アラブ首長国連邦)

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