新産業貿易相が就任、産業界はイノベーション推進に期待

(チェコ)

プラハ発

2019年05月08日

チェコのミロシュ・ゼマン大統領は4月30日、アンドレイ・バビシュ首相の推薦に基づき、新産業貿易相にカレル・ハブリーチェック氏を任命した。同氏は無所属の49歳で、与党ANO 2011から推薦を受けている。

マルタ・ノバーコバー前産業貿易相(無所属、ANO 2011推薦)は、国内携帯電話のデータ通信料金が他国と比較して高いことについて「消費者が無線LANばかりを利用し、データ通信利用が少ないことが原因」と発言したことで、バビシュ首相の批判を受けていた。また3月には、産業貿易省内で開催された各国代表と外国投資企業との会合において、駐チェコ中国大使の要請を受け、副大臣を介して、台湾代表(台湾経済文化事務局長)を退場させたことで、与野党の批判を浴びていた。

ハブリーチェック新産業貿易相は、中小企業連盟の会長を長らく務めていた人物で、2014年には内閣のR&D(研究開発)・イノベーション委員会の副会長に就任している。バビシュ首相は「新大臣の重要な課題の1つは、ほかの経済関連省庁および産業貿易省の外郭団体であるチェコトレード、チェコインベスト、地方開発省外郭団体のチェコツーリズムなど、各種経済関連機関との協力の効率化およびこれら機関の統合だ。この点において、新大臣には多大な期待を寄せている」と述べた。

ハブリーチェック氏の産業貿易相就任は、経済界も歓迎している。産業連盟のヤロスラフ・ハナーク会長は「同氏は産業連盟に属する中小企業連盟の会長だったため、われわれとは近い存在だ。また内閣のR&D・イノベーション委員会の副会長として、チェコの『2019~2030年のイノベーション戦略』作成の中心人物の1人となった。今後、チェコの産業の近代化を推進し、世界トップ20カ国ランクインに寄与してくれると信じている」と述べている。

ゼマン大統領は、産業貿易相と同時に、運輸相、法相の交代も行い、前者にブラジミール・クレムリーク氏(無所属、ANO 2011推薦)、後者にマリエ・ベネショバー氏(無所属、ANO 2011推薦)を任命した。これにより、バビシュ内閣の閣僚は発足10カ月間に6人が入れ替わった。野党はこれを「政府としての構想の欠如を露呈するもの」として批判している。

(中川圭子)

(チェコ)

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