政治的な混乱が続く中、経済界要人の逮捕・解雇も相次ぐ

(アルジェリア)

パリ発

2019年04月26日

アブデラジィズ・ブーテフリカ氏の大統領辞任(2019年4月19日記事参照)に伴い、アルジェリアでは3月下旬以降、複数の主要企業幹部が逮捕または解雇され、国内経済界に深刻な影響が出ている。4月23日には、アルジェリア国営公社で、石油・天然ガス開発大手のソナトラックがアブデルムメン・ウルド・カッドゥール最高経営責任者(CEO)を解雇した、と国営テレビが報じた。現在のところ、解雇理由は不明だ。

同国の経団連に相当する企業家フォーラム(FCE)会長で、公共事業大手ETRHBハッダドのCEOも務めるアリ・ハッダド氏が3月29日、FCE会長のポストの辞任を表明した。ブーテフリカ氏の側近と見なされていた同氏は、31日早朝に出国しようとしたところ、国境付近で逮捕された。逮捕理由はパスポートの違法取得と報道された(「ジュヌ・アフリーク」)。

アルジェ裁判所の検事総長室は4月1日、汚職または違法海外送金の容疑で、複数の同国企業の幹部を予備捜査するようを命じたと発表した。その中には、現代(韓国)の自動車組み立てを請け負うTMCのマヒエディン・タフクートCEOや、イタリアのイヴェコの商用車組み立てを担うIVALのモハメッド・バイリCEO兼FCE副会長が含まれている。捜査対象者12人が出国を禁止されたと報じられている(アンナハルTV)。

また、同国最大財閥セビタルのイッサド・レブラブCEOと、建設・エンジニアリング大手クニネフ・グループのクニネフ4兄弟が4月21日、汚職容疑でアルジェで逮捕され、刑務所に収監された。1998年創業のセビタルは、食品、家電、ガラス製造、建設などの事業を展開する巨大財閥。レブラブ氏は、ブーテフリカ政権と対立的な姿勢を貫いており、野党的存在として見なされていた。

国内では反政府デモが続く中、国営企業、民間企業の親ブーテフリカの財界人だけでなく、同政権に距離を置いてきた要人も影響を受け、経済界は不安定な状況となりつつある。

(ピエリック・グルニエ)

(アルジェリア)

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