AIに関する国家戦略案を策定

(チェコ)

プラハ発

2019年04月11日

チェコ産業貿易省は3月29日、人工知能(AI)促進政策である「人工知能(AI)に関する国家戦略」案を完成させたと発表した。AI技術導入による生産活動やサービスの高付加価値化を目指し、デジタル経済やインダストリー4.0に対応した技術導入を図るチェコ企業の支援を目的に、財政保証を含む具体的な方策・支援策などを盛り込んでいる。

チェコ政府はイノベーション戦略として、「未来へ向かう国-チェコ共和国(Czech Republic-The Country For The Future)」を1月に発表し、2030年までにチェコをイノベーション大国にするべく、R&D拠点の設立やデジタル化、スタートアップ支援など9つの柱を打ち立て、戦略的に注力していく方針を明らかにしていた。

産業貿易省のベトル・オチュコ新技術担当副大臣は「AIのように競争が激しくダイナミックな分野において成功するためには、(1)高度な研究開発、(2)スタートアップや先進的な企業のためのエコシステム(注)の充実化、(3)行政による支援、の3つの基本的な要素を掛け合わせる必要がある」と述べている。

AI国家戦略は、EUのAI政策との連携を意識したものであり、EUの支援を受けたチェコ工科大学(CIIRC)のAI研究センターの設立が4月3日に発表された。同大学のウラジミール・マジック教授は「この研究センターの6年以内のフル稼働を目指し、ヨーロッパに限らず世界中の誰もが試験的にロボット化された生産ラインを開発できるような場所にしていきたい」と述べている。

このAI戦略は、各関係省庁との協議を経て4月下旬に提示される予定。

(注)もともとは生態系の用語。関連企業、組織、技術が互いに連携、依存しながら成長する環境のこと。

(加藤紗妃)

(チェコ)

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