炭化水素資源の確認埋蔵量は前年比6.9%減少、可採年数は8.5年に

(メキシコ)

メキシコ発

2019年04月24日

メキシコ国家炭化水素委員会(CNH)は4月12日、2019年1月1日時点の炭化水素資源埋蔵量に関する暫定報告書を発表した。これによると、2019年1月の確認埋蔵量は原油換算で78億9,730万バレルとなり、前年比6.9%減少した(図1参照)。推定埋蔵量と予想埋蔵量まで含めた総可採埋蔵量でみると251億610万バレルとなり、1.4%の減少となる。確認埋蔵量の内訳は、原油が6.2%減、天然ガスが3.7%減だった。

図1  炭化水素資源埋蔵量(原油換算)の推移

炭化水素資源の前年の生産量に対する、新たに確認できた埋蔵量の関係を示す埋蔵量置換率をみると、2019年1月1日時点では36.6%となり、前年よりは改善しているものの、依然として100%には程遠い(図2参照)。また、埋蔵量確認の多くが資源量再評価などによるもので、新たな鉱区の発見に伴う置換率でみると2.8%にすぎない。可採年数は8.5年と、前年より低下している。

図2 炭化水素資源埋蔵量置換率と可採年数(1月1日時点)

鉱区民間開放の再開を求める声も

可採年数が急速に低下していないのは、埋蔵量の確認が進んでいるのではなく、原油生産量の減少が続いているからだ。2013年以降の原油生産量の推移をみると、2019年1~2月の1日当たりの生産量は2013年比で33.4%減少し、168万バレルの水準まで落ち込んでいる(表1参照)。世界有数の規模を誇ったカンタレル油田の生産減退が始まった2004年以降に、急速に開発を進めたク・マロオブ・サアプ油田群は、現時点で国内生産の約5割を占めるが、既に生産はピークを過ぎているため、今後の生産減退は避けられない。

表1 地域別の原油生産量

アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領は、今後3年間は民間企業への鉱区開放ラウンドを停止すると発表しているが、民間資本を導入して未開発鉱区の探査をより一層進めるべきだと主張する声は多い。CNHのアルマ・アメリカ・ポレス委員長は、メキシコの想定資源量の66.5%が存在する地域が依然として手つかずとなっており、石油公社PEMEXや民間企業に全く割り当てられていないため、これらの地域の資源探査を進めるためにも鉱区開放を再開すべきと主張する(主要各紙4月11日)。想定資源量の多くがメキシコ湾大水深、あるいは陸上の非在来型鉱区(シェール鉱区など)に眠っているため(表2参照)、PEMEXだけで開発を進めるのは資金的、技術的にも限界がある。

表2 主要油田地帯別の想定資源量

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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