特別欧州理事会、最長10月末までのブレグジット再延期で合意

(EU、英国)

ブリュッセル発

2019年04月11日

欧州理事会(EU首脳会議)のドナルド・トゥスク常任議長は4月11日未明、ブリュッセルで10日に開催された特別欧州理事会(2019年4月10日記事参照)で、英国のEU離脱(ブレグジット)の期日を条件付きで最長10月31日まで再延期することで合意したと発表した。

EU、今後6カ月で英国の事態打開に期待

今回の特別会合後に発表された欧州理事会決定によると、再延期を認めるに際し、英国に対し以下の条件が付けられている。

  • 離脱日は、英国およびEUが離脱協定の批准手続きを完了した翌月の1日、もしくは11月1日のいずれか早い日とする。
  • 英国で離脱協定案が5月22日までに批准されない場合、英国はEU法に従い、欧州議会選挙を実施する義務を負う。英国がこの義務を履行しなかった場合、離脱日の延期は5月31日までとする。
  • 今回の再延期は、離脱協定にかかる交渉の再開を除外する。再延期期間中に、EU・英国間の将来関係にかかる交渉は開始しない。
  • 英国はいつでも離脱通知を撤回する権利を有する。

英国での離脱協定批准の進捗状況については、6月20、21日にブリュッセルで開催予定の欧州理事会で確認するとしている。

今回のEU特別欧州理事会に向けて、英国のテレーザ・メイ首相は6月30日までの離脱延長をEU側に要請したが、英国議会での離脱協定案承認のための調整が難航するとみているトゥスク常任議長は、最長1年の長期延期を選択肢の1つとして提案(2019年4月10日記事参照)していた。

特別欧州理事会は4月10日午後6時(中央ヨーロッパ時間)過ぎに始まり、トゥスク常任議長がツイッターで今回の合意を発信できたのは、日付が変わった11日午前0時過ぎだった。メイ首相が退席した後のEU側の意見調整が難航したとみられる。

同会議に先駆けて、欧州議会は4月10日付で声明を出し、メイ首相に対し「英国議会での労働党を含めた超党派の意見調整の見通し」を示すよう求め、アントニオ・タヤーニ議長は、英国議会で離脱協定案承認ができない場合、「(ブレグジットをめぐる)国民投票の再実施」「総選挙」「離脱撤回」なども選択肢とする事態打開を要請していた。

(前田篤穂)

(EU、英国)

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