深刻化する水不足、産業界が改善要望書を政府に提出

(フィリピン)

マニラ発

2019年04月26日

フィリピン国内の業界団体や商工会議所など14団体は4月22日、3月から深刻化している水不足の状況改善を求める要望書を共同で政府に提出した。マニラ首都圏では現在も断水が1日に数時間発生する地域があり、雨季が始まる6月までこうした状態が続く可能性も指摘されている。要望書では、一刻も早い水の供給確保や新たな水源の開発、水の安全保障のためのマスタープランの迅速な作成などを求めている。要望書を提出した団体には、フィリピン商工会議所(PCCI)や、有力な大企業が多く参加する業界団体「マカティビジネスクラブ」をはじめ、日本、米国、カナダ、オーストラリアなど海外の商工会議所も含まれる。

マニラ首都圏の水道事業は約20年前に民営化され、現在はアヤラ財閥のマニラウォーターが首都圏東部を、メトロパシフィックインベストメンツ財閥のマイニラッドウォーターサービシズが首都圏西部をそれぞれ管轄している。両社は水不足の解消に向けて、送水能力の高いポンプの設置や井戸の新設などを進めているほか、新たな浄水場の建設や既存の浄水場の改善工事も計画している。

ドゥテルテ大統領は3月19日、両社幹部を大統領府に呼び、水供給不足の事前予測や対応が遅れたことを非難した上で、一刻も早い対策を求めた。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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