オンタリオ州の多様性や産業競争力の高さを強調、ビジネスセミナー開催

(カナダ)

米州課

2019年04月24日

東京商工会議所は4月23日、カナダ・オンタリオ州の最新情報やビジネスチャンスを紹介するセミナーを東京で開催し、同州政府駐日代表のデビッド・パデュー氏や在日カナダ大使館商務官の徳永陵氏らが講演した。

パデュー駐日代表は、オンタリオ州にはカナダ全人口の39%の約1,440万人が住んでおり、北米の主要都市に簡単にアクセスでき、トロント市から半径800キロ圏内で約1億4,000万人の市場があることを紹介した。また、同州の最大の特徴として多様性を挙げた。州都のトロント市では、人口の51%は外国生まれの移民で、180を超える言語や方言が使われている。カナダは米国よりも移住が容易で、外国の優秀な人材にカナダに定住してもらうために移民審査を迅速化し、競争力を維持していると同代表は述べた。オンタリオ州の主要産業として、フィンテックを含む金融サービス業や自動車産業などを挙げ、同州の自動車生産台数は年間220万台(2017年)で、米国のミシガン州や英国、フランスの生産台数を上回っていると強調した。

写真 講演するデビッド・パデュー・オンタリオ州政府駐日代表(ジェトロ撮影)

講演するデビッド・パデュー・オンタリオ州政府駐日代表(ジェトロ撮影)

徳永商務官は、日本からカナダへの投資トレンドや日本企業のカナダへのアプローチについて話した。日本企業はこれまで約450社がカナダに進出しており、アジア・太平洋地域では日本の進出件数が最も多く、カナダ政府は日本企業の投資を歓迎していると述べた。米国市場にまず進出してからカナダに進出するケースが多いという。中小企業の場合には、製造業の大手企業と一緒に進出したり、サプライチェーンの一端を担うために後から進出してくる事例が多いと述べた。日本企業がカナダで生産活動をしている理由として、工場の質の高さ、具体的には人材の質の高さに定評があり、コストと質の関係では、為替の影響もありカナダの人件費が米国よりも安価なことを挙げた。また今後、情報産業が拡大し、テック人材の確保の重要性が高まる中、カナダでは人工知能(AI)を含む情報通信技術(ICT)人材を毎年約5万人輩出しており、カナダ政府は日本企業のカナダの大学との連携やカナダ事業の立ち上げを積極的に支援すると述べた。

写真 講演する徳永陵・在日カナダ大使館商務官(ジェトロ撮影)

講演する徳永陵・在日カナダ大使館商務官(ジェトロ撮影)

なお、日本・カナダ商工会議所協議会は6月10~13日の日程でオンタリオ州の視察会を実施する予定で、日本商工会議所のウェブサイトで参加者を募集外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。

(中溝丘)

(カナダ)

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