韓国大統領、就任後初の中央アジア3カ国歴訪

(韓国、トルクメニスタン、ウズベキスタン、カザフスタン)

欧州ロシアCIS課

2019年04月23日

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は4月16~23日の日程で、中央アジアのトルクメニスタン(16~18日)、ウズベキスタン(18~21日)、カザフスタン(21~23日)の主要3カ国を訪問した。同大統領が中央アジアを訪問するのは、2017年5月の就任後初めて。各国で首脳と会談し、経済協力を含む多様な分野で意見交換を実施している。

トルクメニスタンでは、4月17日にグルバングルィ・ベルディムハメドフ大統領と会談した。首脳会談では、両国間の有望な協力分野として(実績のある)エネルギー分野に加えて、輸送分野が挙げられた。ベルディムハメドフ大統領は韓国側に対し、韓国企業によるトルクメニスタンの輸送インフラの活用、カスピ海沿岸のトルクメンバシ港にある造船場への投資、自動車組み立て企業による販売・修理拠点の設立、鉄道輸送分野での設備販売・幹線近代化への参画などの提案を行った。会談後の共同宣言・調印文書では、多分野での協力・相互理解がうたわれたほか、通信分野での5G活用に向けた協力、天然ガス産業分野での人材育成協力などが明記された。両首脳はトルクメニスタン西部バルカン州にある、韓国の現代エンジニアリング、現代建設、LGインターナショナル、日本のプラント大手の東洋エンジニアリングが共同受注し、2018年10月から操業を開始している大型化学コンビナートを視察している。

ウズベキスタンでは、シャフカト・ミルジヨエフ大統領と4月19日に首脳会談を開催。ミルジヨエフ大統領は、2018年の両国間の貿易額が21億ドルを超え、ウズベキスタンで活動する韓国系企業は660社で、うち354社は韓国資本100%の企業であることを説明し、ウズベキスタンとしてエネルギー、石油天然ガス、化学、鉱業、輸送・物流、機械・電気製造、繊維、食品加工、インフラの各分野での協力拡大に関心があると発言した。両首脳は、同日に開催された2国間のビジネスフォーラムにも参加した。フォーラムでは、タシケント州東部のアングレン特別経済区の運営を、韓国の仁川特別経済区の運営主体に委譲することなどが合意された。

カザフスタンでは、4月22日にカシムジョマルト・トカエフ大統領と会談。朝鮮半島問題について話し合ったほか、経済分野ではカザフスタンへの韓国による協力プログラム「新鮮な風(スベージイ・ベテル)」に関し2019年から2022年までの行動計画について合意。カザフスタンの産業・インフラ発展省によると、同プロムグラムを通じて輸送物流、建設、インフラ、鉱・冶金(やきん)業、エネルギー、イノベーションなど、10の分野で58の事業の実現を目指す。また、首都ヌルスルタンでの韓国主導による両国共同の国際ITセンターの創設、大アルマトイ環状道路(BAKAD)の建設への協力、宇宙分野での協力などについて合意した。両首脳はビジネスフォーラムにも参加し、トカエフ大統領が韓国企業に対して、「アスタナ金融センター」の利用や、カザフスタン鉄道がターミナルを所有する、中国の連雲港を経由した欧州へのコンテナ輸送の活用を呼び掛けている。

(高橋淳)

(韓国、トルクメニスタン、ウズベキスタン、カザフスタン)

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