改定米韓FTAの成果強調しつつ、各種障壁も指摘、2019年外国貿易障壁報告書(韓国編)

(米国、韓国)

米州課

2019年04月12日

米国通商代表部(USTR)が3月29日に発表した2019年版外国貿易障壁報告書(NTE)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます) で、韓国に関する記述は12ページと、前年から1ページ減った。2018年米国の対韓貿易赤字は179億ドルと2017年比22.4%減少し、2017年の米国の対韓直接投資は416億ドルと2016年比8.1%増となった。さらに、改定米韓自由貿易協定(FTA:KORUS)が1月に発効している。

報告書はまずKORUSに触れ、米国の自動車安全基準(FMVSS)適合車の韓国向け輸出枠が自動車メーカーごとに、2万5,000台から5万台へと倍増する約束を韓国から取り付けたこと、また、原産地規則を円滑に進めるため、新たにKORUS「原産地規則検証ワーキンググループ」を設立することが合意された点に言及している。

貿易の技術的障壁(TBT)についてNTEは、2018年に韓国環境部(MOE)が提案した「化学物質登録および評価に関する法律(K-REACH)」の改正案を取り上げた。改正案では輸入業者および製造業者に対して化学混合物の組成を明らかにするよう義務付けているが、米国の輸出業者は、ビジネス上の機密情報に当たるため完全な開示はできない、と主張している。

サービス産業の障壁については、韓国が長年取っている(1)スクリーンクオータ(外国の映画やアニメ番組などのTV放送枠、上映枠の設定)、(2)外国製音楽放送枠の設定、の存在を指摘している。

デジタル貿易および電子商取引の障壁として、国境を越える個人情報や産業・経済・科学技術に関する重要情報の移転、地図など空間情報の越境移転、金融会社が保有する個人顧客の固有情報の越境移転などに関して、韓国側が取っている制限措置を問題視した。

さらに、韓国公正取引委員会(FTC)が外国企業を標的に、公正な手続きを取らずに不当な要求を行っている、との米国企業の声を紹介している。

NTEは、総論編と各国・地域編から成り、総論編は2019年4月5日記事参照

(木村誠)

(米国、韓国)

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