成長著しい大麻産業、食品関連企業からの投資が増加

(カナダ)

トロント発

2019年04月11日

カナダ統計局が2019年3月に発表したレポート「2018年第4四半期(10月~12月)の国民経済計算における大麻市場」によると、この3カ月間の名目GDP(年額換算)は2兆2,231億カナダ・ドル(約186兆7,404億円、Cドル、1Cドル=約84円)で、大麻産業に関わる分野の額は86億Cドルだった(表参照)。この大麻産業に関わる産業活動には、今回解禁となった嗜好(しこう)用大麻だけでなく、医療用大麻も含んだ小売事業、個人の消費活動、大麻の栽培・加工・輸送・工場設備への投資活動などを計上している。GDP全体に占める割合は0.3%と非常にわずかだが、GDP全体の前期比伸び率(実質ベース)が1%未満であるのに比べ、大麻産業分野のGDPの伸び率は第1四半期が5.2%で、第2四半期以降は7.6%、6.2%、10.7%と著しい増加を示している。特に第4四半期には、嗜好用大麻が解禁されたこともあって、伸び率が非常に高くなっている。

表 GDPにおける大麻産業(2018年)

嗜好用大麻の解禁前から、このような需要の増加が見込まれていたことから、カナダの大麻関連企業への米国企業などからの投資が進んでいた。2018年8月には「コロナ」ビールなどを販売する米国酒類販売大手のコンステレーション・ブランズが、世界最大級のカナダの医療用大麻製造・販売企業キャノピー・グロースの株式を50億Cドルで追加取得し、持ち株比率を38%に引き上げた。2019年2月20日には、カナダの大麻の研究・栽培・加工・流通のリーダー企業であるティルレイが、世界最大の大麻食品会社マニトバ・ハーベストを買収し、栄養価の高い大麻食品やサプリメントを製造・販売していくと発表した。また、翌2月21日には、カナダで大麻研究や技術・製品開発を行うクロノス・グループが、米国たばこメーカーのアルトリア(旧フィリップ・モリス)からの24億Cドルの投資を受け入れることを承認したと発表した。

大麻関連企業の買収や投資などの動きは、今後もたばこ、酒類、食品関連企業などを中心にさらに活発になっていくものとみられる。

(酒井拓司)

(カナダ)

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