ドイツ企業、インダストリー4.0への投資を積極化

(ドイツ)

デュッセルドルフ発

2019年04月10日

ドイツ IT・通信・ニューメディア産業連合会(BITKOM)は4月1日、総合産業見本市「ハノーバーメッセ」の開催に合わせ、ドイツ企業のインダストリー4.0への取り組みの現状に関する調査結果を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同調査は、従業員100人以上のドイツ企業555社を対象に実施した。アンケートに回答した企業のうち、12%の企業は「インダストリー4.0に関連して人工知能(AI)を利用している」と回答した。回答者の約半分(49%)は「インダストリー4.0の文脈において機械学習の導入が既存のビジネスモデルを大きく変える」と回答。AI導入のメリットとしては、「生産性の向上」(47%)、「予知保全(エラー検出およびダウンタイムの削減)」(39%)、「生産・製造のプロセス最適化」(33%)、「品質の改善」(25%)などを挙げた(表1参照)。

表1 人工知能導入のメリット(複数回答可)

ドイツの工場におけるネットワーク化が進んでいることも見て取れる。53%の企業が「インダストリー4.0に関連する特殊なソリューションを既に利用している」と回答したほか、導入を計画していると回答した企業も21%に上った。また、「インダストリー4.0関連技術に売り上げの5%以上を投資する」とした企業の割合は、2019年には55%と、前年(39%)から上昇するなど、ドイツ企業が同分野へ積極的に投資を行っている様子がうかがえる。

一方、インダストリー4.0の導入への課題としては、「高い投資費用」(66%、2018年:72%)と回答した企業が依然として最も大きな割合を占めた(表2参照)。また前年に比べ、「データ保護要求への対応」(65%、2018年:58%)や「データセキュリティ要求への対応」(61%、2018年:56%)を課題として挙げる企業が増加した。さらに熟練人材不足から、優秀な人材を確保できないため、インダストリー4.0が導入できない企業も増えている(55%、2018年:49%)。

表2 インダストリー4.0導入の障壁(複数回答可)

デジタル化が進む中、72%の企業は「インダストリー4.0に関する新たな産業政策が必要」と回答しており、政府が導入すべき具体的な施策としては「ブロードバンドネットワークの拡大」(80%)、「熟練人材探し」(67%)、「実行可能なデータ保護」(56%)などを挙げた(表3参照)。

表3 政府に求める支援策(複数回答可)

(ベアナデット・マイヤー、森悠介)

(ドイツ)

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