韓国経済へのブレグジットの影響は限定的なるも、状況を注視

(韓国、英国)

ソウル発

2019年04月22日

韓国政府は、英国のEU離脱(ブレグジット)に対応するため、関係省庁(外交部、企画財政部、法務部、科学技術情報通信部、国土交通部、環境部、中小ベンチャー企業部、関税庁、調達庁)による対策会議を1月から開催している。ブレグジットによる関税率引き上げ、通関の遅れなど対英輸出環境の悪化による韓国企業への影響を抑えるため、1月16日には大韓貿易投資振興公社(KOTRA)と韓国貿易協会の合同による「ブレグジット対応支援デスク」を、1月23日には税関に「ブレグジット輸出入通関専門相談窓口」を設置し、韓国企業への情報提供や相談サービスを実施してきた(4月11日現在の相談件数は52件)。

また、ブレグジットにより輸出被害を受ける企業に対しては、輸出信用保証保険の限度を1.5倍に増やすとともに、通常2カ月かかる貿易保険の支払いを1カ月に短縮する計画を発表するなど、支援体制を強化している。

韓国に進出している日系企業に対し、ブレグジットに関わる対応について聴取したところ、EU向け輸出取引はあるものの、英国向けの取引がないため影響はほとんどないとの回答が多かった。また、過去に英国を商流の拠点としていた企業も、英国以外のEU加盟国に拠点を移すなど、既にブレグジットへの対策を講じているとの回答だった。

韓国貿易協会傘下の国際貿易研究院は3月12日「ブレグジット・シナリオ別の主要国GDPへの影響」を発表し、英国がEUとの相互合意なしに離脱(ノー・ディール)した場合、電子、化学、自動車など輸出産業へのダメージは避けられないものの、英国とEUの経済成長の鈍化による影響で、韓国のGDPは2030年までで0.064%減にとどまると予測した(添付資料参照)。

他方、ユ・ミョンヒ産業通商資源部通商交渉本部長は4月11日、英韓両国の安定的な貿易・通商関係を維持するため、英韓自由貿易協定(FTA)の推進について、駐韓英国大使と議論を行うなど、EU韓国FTAの恩典を維持するための協議を進めている。

〔末永敏、諸一(ジェ・イル)〕

(韓国、英国)

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