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オンタリオ州、高速鉄道建設計画を棚上げ

(カナダ)

トロント発

2019年04月19日

オンタリオ州のジェフ・ユレック運輸相は4月15日、前州政権の自由党が計画した高速鉄道建設計画(トロント~ウインザー間)を当面、棚上げすることを明らかにした。同相は「オンタリオ州政府は財政問題に直面しており、財政赤字と巨額の債務を削減しなければならない。数十億カナダ・ドル(Cドル)規模のプロジェクトがその支出に見合うものであることを精査しなければならない」と述べた。4月11日に州議会に上程された2019年度(2019年4月~2020年3月)予算案は歳出総額1,634億Cドル(約13兆7,256億円、1Cドル=約84円)、歳入が1,542億Cドルで収支は93億Cドルの赤字ながら、準備金10億Cドルを含めると前年度より14億Cドル圧縮されたものになっている。2019年度末の累積債務残高は360億Cドルとなり、GDP比は40.7%で、前年度より0.5ポイント上昇とされている。

ダグ・フォード現州政権は2018年末に、高速鉄道以外の交通整備が妥当かどうかを精査する環境アセスメントにおいて、VIA(VIA Rail Canada)鉄道の増発、バス路線の拡充、高速道路の整備との比較を含めたが、2019年度予算案では、トロント以西の交通整備は現在のVIA鉄道の増発、バス路線の拡充、高速道路の整備などを重点的に行うこととしている。2017年5月に、キャスリーン・ウィン前州首相が発表した高速鉄道計画では、2025年までに最高時速250キロでトロント~ロンドン間を結び、2031年までにロンドンからウインザーに延伸するとしていた。

農業地域の住民の声を尊重

高速鉄道が建設される予定だったトロント市、ミシサガ市以西の地域は、オンタリオ州内でも農業の盛んな地域で、高速鉄道建設により、農地が減少するだけでなく、自宅、農場、市場・市街地へのアクセスを制限する物理的な障壁が生じるという懸念を、地域住民はかねて主張していた。ユレック州運輸相は「前政権は都市部以外の住民の声を無視していたと聞いており、農村部住民の懸念を払拭(ふっしょく)する必要もある」と述べた。

カナダにおける高速鉄道構想は、1960年代にトロント~モントリオール間の路線で計画されて以降、エドモントン~カルガリー間、ケベック~ウィンザー間、バンクーバー~シアトル(米国ワシントン州)間などでも計画が発表されたが、冬季の降雪や低温下での線路状態を維持するコストの問題や、人口の密集度が他の先進国に比べると少ないことなどもあって、持続可能性の観点から、実現するには至っていない。

(酒井拓司)

(カナダ)

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