EU離脱延期、英国産業界は早急な結論を求める

(英国)

ロンドン発

2019年04月12日

英国のEU離脱(ブレグジット)の再延期(2019年4月11日記事参照)を受け、4月11日には英国の産業団体が声明を発表した。

英国商工会議所(BCC)は、ブレグジット延期に関して企業は安堵(あんど)する一方で、終わりのない政治プロセスにはいら立ちを募らせていることは明かで、10月末まで延期された離脱までの時間を浪費せず、早急に前進すべきとしている。また、英国産業連盟(CBI)のキャロライン・フェアバーン事務局長も「(離脱協定案に合意できず延期にまで至った議会での混乱と)同様のことが続けば、秋にはさらなる混沌(こんとん)を生む」として懸念を示し、政界の超党派の誠意ある議論で危機を収束させなければいけないとコメントした。

英国経営者協会(IoD)のエドウィン・モーガン暫定事務局長は、いまだ多くの事項が宙に浮いたままで、企業にとって不快な状態が続くと指摘しており、企業にとっては結論が持ち越しになる状態が解消されることが望ましく、早急に政治合意による現状打破を求める、との見解を示した。製造業団体であるメークUKのステファン・フィプソン最高経営責任者(CEO)は、特に中小企業にとって在庫の積み増しなどノー・ディール(合意なき離脱)対策が重荷になっているとした。与野党に対して、摩擦のない貿易、規制の合致、労働力へのアクセス、長期の移行期間を設ける施策への合意を求めるとともに、もし合意に至らない場合は、さらなる延期よりもブレグジットを撤回することを求めた。中小企業連盟(FSB)のマイク・チェリー議長は、ノー・ディールの回避に安堵しながらも、10月末まで延期が続いた場合、EUとの合意に基づく離脱の場合に設けられることになっている移行期間の3分の1を、中小企業は明確な対策が打てないまま過ごさなければならないとして懸念を示した。

今回の延期により当面の大混乱は回避されたものの、結論が出ない状態が企業の消耗を招いている。

(木下裕之)

(英国)

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