再生可能エネルギーサービス分野などでの参入障壁に懸念、2019年外国貿易障壁報告書(日本編)

(米国、日本)

米州課

2019年04月05日

米国通商代表部(USTR)は、3月29日に発表した2019年版外国貿易障壁報告書(NTE)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、日本に対して16ページを割き、輸入政策、貿易の技術的障壁・衛生植物検疫、政府調達、知的財産権保護、サービス障壁、デジタル貿易および電子商取引、再生可能エネルギーサービスなどの分野について、貿易障壁とその改善・進捗(しんちょく)などについて報告した。

この1年の日本の改善点としては、著作権の保護期間が全ての著作物に対して70年または著者の死後70年まで延長されたこと、ラム肉など米国産羊肉の輸入が再開されたことが、NTEと併せて公表されたファクトシート(米国からの輸出にかかる障壁解消外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます米国農業のための外国市場開放に向けた戦い外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で示された。

一方、新たな指摘分野として、「再生可能エネルギーサービス分野」が加わったほか、従来のデジタル貿易・電子商取引分野の中に「プライバシー」と「デジタルプラットフォーム規制」の項目を追加した。

再生可能エネルギーサービス分野については、日本で再生可能エネルギーを販売しようとした米国企業が送電網へのアクセスを満杯を理由に拒否されたことを挙げ、その背景には既存企業が送電・発電の両方を管理していることがあるとした。日本では2015年に成立した改正電気事業法により、2020年に送配電部門の電気事業社からの法的分離(別会社化)が実施される予定だが、米国はこの発・送電分離に向けたプロセスを注視していくと述べた。

プライバシー項目では、1月23日に「日EU間の相互の円滑な個人データ移転を図る枠組み」が発効したことが取り上げられた。これは、日本の個人情報保護委員会と欧州委員会が、互いの個人情報保護法が十分に高い水準にあると認め、日・EU間で個人情報の自由な移転を許可することで合意したものだ。報告書は、この枠組みにより日本はEUデータの日本から第三国への移転に関する細則を作成中だが、この細則が日本から米国へのEUデータの移転に何らかの不自由を与えることにならないか、懸念を示した。また、デジタルプラットフォーム規制については、2018年に経済産業省、総務省などが発表したデジタルプラットフォーム規制の必要性に関する政策ペーパーを取り上げ、提案された規制がイノベーションを抑制したり、健全な市場競争を損ねたりしないか、米国は注視していくと述べている。

NTEは、総論編と各国・地域編から成り、総論編は2019年4月5日記事参照。

(藤井麻理)

(米国、日本)

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