産業構造調整指導目録の改定案公表、マイニングや環境法規違反の製品・技術を淘汰

(中国)

北京発

2019年04月23日

中国の国家発展改革委員会は4月8日、「産業構造調整指導目録(2019年版)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」(以下、目録)の意見募集稿を公表した。目録は、中国政府が産業構造の調整を進める中で、発展を奨励する分野、投資を制限・淘汰(とうた)する分野を定めたもので、各種政策の根拠となっている(注1)。また、目録の制限類と淘汰類は、内・外資企業に対して適用される「市場参入ネガティブリスト」にも反映されており、外資系企業にも影響を与える(注2)。意見募集は同委員会のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで5月7日まで行われる。現行の2011年版の目録は、2013年に一部項目を修正していたが、今回8年ぶりの本格改定となる。

奨励類:ハイテク関連の技術・製品が増加、人材サービスとAIが新規追加

意見募集稿では、奨励類にハイテク関連の技術・製品などが追加された。具体的にはドローン、量子コンピュータ、工業用インターネット、デジタル音楽・ゲーム、フィンテック、データセンター、サイバーセキュリティー、水素ステーション、ブロックチェーン(国家が認めた範囲内)など。また、人材サービス(採用、就職・起業支援、訓練、評価など)、人工知能〔AI=チップ、バーチャルリアリティー(VR)、拡張現実(AR)、音声・画像認識、各種スマート製品・サービスなど〕が新たに追加された。

仮想通貨のマイニングなどが淘汰類に追加

淘汰類には、仮想通貨のマイニング(注3)、排ガス基準「国2」以下の自動車用エンジン、排ガス基準「国3」以下のディーゼル貨物車、鉱山採掘、水銀を一定量含有した製品などが追加された。中国には、ビットコイン大手のビットメインなど、仮想通貨に関連する企業が多数存在し、マイニングも活発に行われてきたことから、淘汰が実施される場合の影響は大きいとみられる。

淘汰類の取り扱いについては、目録上に具体的な期限が記されている場合はその期限までに、淘汰の計画があるものは計画どおりに淘汰し、それ以外のものは国家の産業政策に従って淘汰を命じるか即座に淘汰する、となっている。

そのほか、大気汚染防止法、水汚染防止法、固体廃棄物汚染防止法、省エネルギー法、安全生産法、製品質量法、土地管理法、職業病防止法などの規定、および国家安全、環境保護、エネルギー消費、品質保護の分野における強制性標準や、中国政府が国際的に約束した環境公約に合致しないものは制限類や淘汰類の対象となると明記された。目録が正式に公布・施行されれば、環境法規に違反した製品・技術の淘汰がさらに進むとみられる。

(注1)目録に記載がない分野は許可類と位置付けられている。

(注2)2018年版市場参入ネガティブリストには、目録の淘汰類項目には投資を禁止し、制限類項目は新規設立を禁止すると記載されている。同ネガティブリストの日本語仮訳はジェトロウェブサイトで参照できる。

(注3)仮想通貨の取引を承認し、記録する作業のこと。電力などのエネルギーを大量に消費するとされる。

(小宮昇平)

(中国)

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