政府が外国人違法就労者の取り締まりを強化

(フィリピン)

マニラ発

2019年04月09日

労働雇用省(DOLE)のシルベストル・ベリョ長官は4月4日、フィリピンでの外国人就労を厳格化するためのガイドラインを間もなく公表すると発表した。外国人雇用許可(AEP)や特別就労許可(SWP、注)を受けずにオンラインカジノや建設現場などで働く中国人の不法就労者の急増を受け、政府は外国人違法就労者の取り締まりを強化する意向だ。

ベリョ長官は、取り締まり強化に向けて専門職員5,000人の追加雇用が必要とした上で、「追加雇用には25億ペソ(約52億5,000万円、1ペソ=約2.1円)の経費がかかるが、不法就労者から220億~400億ペソの追加徴税が見込まれる」と説明。外国人就労者によるAEPの申請前に、国税局(BIR)からの納税者識別番号(Tax Identification Number)の取得を厳格化することで、外国人就労者に対する適法な徴税を進めていくとした。

ナンシー・ビナイ上院議員は同日、「建設現場、レジ係、ウエーター、清掃員、家事手伝い、ごみ収集、セキュリティーガード、倉庫管理員といった、SWPガイドラインで禁止されている外国人就労者へのSWP発行は違法」と述べた。同氏はさらに、「大規模なインフラ整備計画『ビルド、ビルド、ビルド』プログラムの下、中国資本によって進められている建設現場に対するDOLEの査察を要求し、違法に働く中国人労働者に対するSWPの発行を中止すべき」と主張した。

(注)6カ月以上の就労を希望する外国人は、DOLE発行の外国人雇用許可(AEP)を、6カ月未満の範囲で就労を希望する外国人は入国管理局(BOI)発行の特別就労許可(SWP、3カ月有効で1回限り延長可能)を取得する必要がある。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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