エネルギー転換分野のスタートアップがアイデアを競う

(ドイツ)

ベルリン発

2019年04月25日

連邦経済・エネルギー省傘下のドイツエネルギー機関と世界エネルギー会議は4月9日、「スタートアップ・エネルギー・トランジション(StartUp Energy Transition、以下SET)」と題したイベントをベルリンで開催した。これは、エネルギー転換分野のスタートアップ企業、投資家、パートナーなどのネットワーキングを通じてイノベーションを促進することを目的としており、同日にベルリンで連邦政府が開催した「第5回エネルギー・トランジション・ダイアログ」と、時期を合わせて開催された。同イベントは2017年3月に1回目が開催され、今回で3回目。

SETでは、エネルギー転換と気候保護の分野で、最も革新的で効果的なビジネスモデルをもったスタートアップ企業を発掘するため募集された、SET賞の最終選考と授与も行われた。2019年のSET賞には80カ国、450社のスタートアップ企業から応募があり、その中から「低炭素エネルギー生産」「エネルギー効率、スマート機器と貯蔵」「スマートグリッド、プラットフォームとサイバーセキュリティー」「エネルギーアクセスと国連の持続可能な開発目標」「モビリティーイノベーション」の5つの分野で、それぞれ3社が最終候補として絞り込まれ、SETでのライブ・プレゼンテーションなどによって受賞企業の選考・決定が行われた。

受賞企業には、高効率の水素生成装置の製造を行っている企業〔エンアプター(Enapter外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)ドイツ〕、電力使用量の測定やスマートグリッドとの接続が可能な多機能ブレーカーを製造する企業〔ブリックスト(Blixt外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)スウェーデン〕、太陽光で発電された電力を供給網に接続する際の電圧変動を制御する技術を開発する企業〔プラネット・アーク・パワー(Planet Ark Power外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)オーストラリア〕、ウガンダで家庭の炊事などでの木材燃焼による問題に対処するため竹による代替品のチャコール・ブリケットを製造する企業〔ディバイン・バンブー(Divine Bamboo外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)〕、同じくウガンダで主要な交通手段であるバイクの電動化に取り組む企業〔ボーダベルク(Bodawerk外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)〕が選ばれた。

最終候補に選ばれなかったスタートアップ企業もそれぞれブースを運営し、会社の説明などを行い、また何社かはステージでのプレゼンテーションを行うこともできた。今回は、日本からのスタートアップ企業の参加はなかったが、SETは自らのスタートアップのアイデアを海外に知らせるため、また投資家を見つけるための良い機会となる国際的なイベントで、今後は日本からの参加が期待される。

(ヴェンケ・リンダート、マリナ・リースラント、油井原詩菜子)

(ドイツ)

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