英国のEU離脱延期、ドイツ産業界は不確実性が続くことを懸念

(ドイツ)

ベルリン発

2019年04月18日

4月10日の特別欧州理事会(EU首脳会議)において、英国が4月12日に合意なしに離脱するノー・ディールが回避されたことについて、ドイツの主要産業団体は4月11日に声明を発表、ノー・ディールが回避されたことに安堵(あんど)する一方で、離脱時期が先延ばしとなり、不確実性が続くことについて懸念が示された。

ドイツ産業連盟(BDI)のディーター・ケンプ会長は「EUがこの時点での英国の混沌(こんとん)とした離脱を阻止したことにドイツの経済界が安堵した一方で、宙に浮いたままの離脱により経済の不確実性は高まり続けている」と、今後に懸念を示し、「終わりのない不確実性は経済にとって最悪の枠組みだ。企業は英国のEU離脱がどこに向かうのか知らねばならない。英国は現在の政治の混乱を収束させる必要がある」とコメントした。

ドイツ商工会議所連合会(DIHK)のエリック・シュバイツァー会長も「ドイツ、英国双方の企業が離脱に対する準備期間の猶予を持てた一方で、不確実性は残ったままだ」とし、 ドイツから英国への輸出が既に明らかに減少していると述べた。ドイツ卸・貿易業協会(BGA)のホルガー・ビングマン会長も同様に、離脱延期に伴う今後の不確実性に対して危機感を示しており、不確実性は大陸と英国双方の企業心理を冷え込ませ、景気に影響を与えつつある、としている。

(油井原詩菜子)

(ドイツ)

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