サンパウロ州政府、自動車製造企業向け恩典を発表

(ブラジル)

サンパウロ発

2019年03月11日

ブラジルのサンパウロ州政府は3月8日、自動車製造業者向けに、州税である商品流通サービス税(ICMS)の軽減率を最大で25%までとする恩典プログラム「IncentivAuto(インセンティブ・アウト)」を発表した。同措置は、フォードが2月19日に、州内にあるサンベルナルド・ド・カンポ工場の2019年内閉鎖を発表(注1)したことを受けたものとみられている。フォードは同工場でトラックと乗用車「フィエスタ」を製造しており、報道によれば、直接雇用は約3,000人と大きく、地域経済への影響が懸念されていた(注2)。

同措置を規定した2019年3月8日付州法令64130号(2019年3月9日付州政府官報公示)によると、恩典を受ける要件として、(1)最低でも10億レアル(約290億円、1レアル=約29円)以上の新規投資、(2)最低でも400人の新規雇用、(3)全ての投資がサンパウロ州内でされること、の3つの要件を設けている(州法令64130第3条)。これらの要件を満たすとして企業から申請された投資計画は、州政府の「経済開発政策評価委員会」で審査され、認可後も、州政府の投資誘致機関インベスチ・サンパウロ(Investe São Paulo)が投資実行状況を定期的に審査する。恩典の内容は、認可企業に対して新規投資に必要な資金を州政府が融資し、その融資残高から投資額に応じた軽減を見込んだ制度となっている(州法令64130第5条、第6条)。この融資契約の詳細は今後、別規定で定められるとある。

ブラジル自動車製造業者協会(Anfavea)の資料によれば、ブラジルの2018年自動車(乗用車・軽商用車・バス・トラックの合計)生産台数は289万3,695台で、うちサンパウロ州における生産台数は全体の46.0%を占める。完成車メーカーはフォードのほかに、ゼネラルモーターズ(GM)、ホンダ、現代、メルセデス・ベンツ、スカニア、トヨタ、フォルクスワーゲン(VW)などの工場がある(表参照)。

表 ブラジルの州別自動車生産台数シェア(2018年)

(注1)フォード・グローバルサイトにおけるプレスリリースPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)

(注2)フォードでは同工場以外に、サンパウロ州タウバテ市にエンジン工場があるほか、バイーア州カマサリ工場で「Ka」「エコスポーツ」などを製造している。

(二宮康史)

(ブラジル)

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