麺屋武蔵のウクライナ共同創設者に日本食事情を聞く
(ウクライナ)
ワルシャワ発
2019年03月08日
人口295万を擁するウクライナの首都キエフでは、現地資本の日本食チェーン店を中心に日本食が定着しつつある。2015年からフランチャイジーとして「麺屋武蔵」を展開してきたIPPON共同創設者ブラディミル・マスリャンスキ氏に、ウクライナの日本食事情について聞いた(2月20日)。同氏がコメントした内容は次のとおり。
麺屋武蔵の進出まで、ウクライナにラーメン専門店はなく、麺屋武蔵は初めてウクライナで展開する日本のフランチャイズレストランとして新しい市場を創れると見込んだ。2015年当時、キエフでは寿司(すし)が定着してきており、タイ料理、ベトナム料理なども含む、他のジャンルのアジア系レストランへの関心が高まっていたことも背景にある。現在、麺屋武蔵はキエフ市内に7店舗を構えている。
ラーメンは「おいしい・早い・安い・量が多い」ことから人気がある。ウクライナ人にとってラーメンは「スープ」でもあり、麺とスープのバランスは重要だ。客単価は約190フリブニャ(約785円、1フリブニャ=約4.13円)。人気メニューは、豚骨ラーメンと唐揚げ。ウクライナ人はメニューの豊富さも重視するため、ご飯メニューやギョーザ、サラダ、デザートなどサイドメニューを充実させている。また、レストランのまとめサイトで、カテゴリーの「寿司」が入るよう、巻き寿司も少しメニューに加えている。
ウクライナ人は健康志向が強く、カロリーや材料を気にする。ラーメンも、日本食であることからヘルシーだと思っているお客さんは多い。食材は主に現地調達しており、鶏肉などは自社の契約農家でオーガニック飼育されたものだ。ベジタリアンメニューが人気で、今後もその人気は増していくとみている。
定番メニュー「クラシック」の豚骨ラーメン(ジェトロ撮影)
セントラルキッチン(注)を1カ所設置しており、製麺機はセントラルキッチンともう1店舗に1台ずつ置いている。スープは麺屋武蔵のレシピに沿って作っており、日本の麺屋武蔵と味は変えていない。日本の麺屋武蔵で修業した2人のシェフがスープの製造を主に担当している。
開放感のある2フロアの店内(ジェトロ撮影)
18~35歳の若い世代が来店客の70%を占め、男女では女性の比率が高い。平均的な滞在時間は約1時間半で、ウクライナの通常のレストランと比べて短い。ウクライナ人は店内の雰囲気の良さを重視するため、内装にこだわっている。今後は、キエフ市内で10店舗まで拡大する予定で、他都市への展開も視野に入れている。
(注)各店舗の調理を、1カ所で集中的に引き受ける調理施設のこと。
(深谷薫、ジュリア・ポヤタ)
(ウクライナ)
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